コンサルタントの山北です。
営業本やセミナーでは必ずと言っていいほど質と量の話が登場します。
それぞれがそれぞれの理論をもち、量が重要、質が重要と唱えているため、読めば読むほど答えがなく、迷走してしまいそうになります。
結局、私はどちらも重要だと結論づけていますが、量に関しては定義が明確で理解されている反面、質に関しては定義が不明確で正しい理解がされていないことが気になります。
営業支援の現場では「次月はやみくもに訪問数を増やして営業活動するのをやめて、質の高い営業活動を行います」といった「論拠のない質を上げる宣言」を過去何度も聞いてきました。
その度に私は必ず「質の高い営業活動とは具体的にどういったことでしょうか?」と問いかけます。
この質問をするとたいていの人は、アタフタし、曖昧な表現しかできません。
しかし、そのような人はまれではなく、多くの人が質に関して正しく理解できていないのではと思います。
では、質をどのように定義して考えればよいか?
今回はわかりやすい営業の質の考え方と、質の向上についてご紹介します。
質の考え方を理解するために、まずは量を表す設定を考えてみましょう
●顧客件数
●電話件数
●訪問件数
●提案件数
●商談件数
●見積件数
上記項目は数値表現できるので、明確な設定ができますし、設定されれば何をすれば良いかが分かります。
では、質に関してはどうでしょうか。
上記の量の項目に合わせて設定してみました。
●質の高い顧客
●質の高い電話
●質の高い訪問
●質の高い提案
●質の高い商談
●質の高い見積
いかがでしょう?
それぞれの人が「私は質の高い営業活動をやっています」と言えば成立してしまいそうです。
質に関して明確なものさし(基準)がないので、高い、低いがわかりません。そこで私は質を「確率」だと定義づけています。
具体的には以下のように考えます。
今までは全ての業種を対象にしていたが製造業の小人化ニーズを持った顧客に絞り込んで先月と同数の100件に訪問したら、商談進捗数が先月の10件と比較して20件に上がった。(商談進捗率10パーセント向上)
つまり行動した結果、リターンが得られる確率を質として考えます。
100件電話してアポイントが20件とれるAさん(アポ獲得率20%)
100件電話してアポイントが10件とれるBさん(アポ獲得率10%)
では、明らかにAさんの電話営業の質が高いとわかりやすく考えることができます。
確率を図っていれば個人の価値観で基準が曖昧になることはありません。
確率が低いのに、「私は質の高い活動をしています」という発言もなくなります。
では、次に質の向上についてお伝えします。
量については時間を投入し行動する数を増やすことで向上することがわかります。
質(確率)に関しては、現状を把握し今のやり方の改善すべき点を考え、新しいやり方を実施した結果の数値でしか向上しているかどうかを判断することはできません。
現状のやり方をより確率の高いやり方に変えるということです。
どれだけ量をこなしても、確立の低いやり方を繰り返しているだけならば、質の向上はありません。
また、やり方を変えてもより確率の高い行動を導くことができない人も質の向上はありません。
成果につながるやり方の仮説を考え、実践し、検証して確率の高い方法を選択することを繰り返す。
つまり、PDCAの回数と成功体験の回数でしか質は高まりません。
トップセールスと、成績不振の営業の質の差は意識していたかいなかったかは別にして、より確率の高い方法を導き出し確率のあがるやり方を導き出せた回数の差だと私は考えます。
この部分を個人に任せるのではなくチームで活動すれば、より大きな成果をチームにもたらしてくれます。
今回は営業の質の考え方と質の上げ方について、ご紹介しました。
いずれにしても、そもそも、
●考えない
●行動しない、
●行動を変えない
●検証しない
●改善しない
このような人は営業の成果を高めることは難しいといえるでしょう。