予材管理の現場から 予材管理ブログ

プロ野球選手のうち1軍で活躍するのは?


コンサルタントの酒井です。

先月10月26日、プロ野球のドラフト会議が行われました。
今年の注目選手といえば、なんといっても、清宮幸太郎選手でしょう。
高校通算111本のホームラン記録は過去最多と言われ、その才能は群を抜いているようです。

その証として、7球団が1位指名し、競合の末、日本ハムファイターズが交渉権を獲得。
先日入団発表記者会見が開かれ、背番号21のユニフォーム姿が初披露されました。

私は、営業と採用のコンサルティングを行っていますので、ついついドラフト会議を営業と採用という側面から見てしまいます。

ドラフト会議の目的

プロ野球チームがドラフト会議で選手を獲得する目的は、一言で言えば、強いチームを作るため。

プロスポーツの世界で最も求められることは、勝つことですから、プロ野球チームに求められることは、勝てるチームを作り、リーグ優勝、そして日本一になることです。

その目標を果たすために必要な選手を獲得することが、ドラフト会議の目的となります。

他チームとの比較で現有戦力を客観的に分析し、勝てるチームを作り上げるために、不足を補う選手を獲得する必要があります。

分かりやすく例えると、先発投手が不足しているのであれば、高校や大学、社会人野球で先発完投型のスタイルで実績のある選手を獲得候補に入れますし、長距離ヒッターが不在であれば、ホームランを打ってきた実績のある選手を獲得候補に入れるわけです。

どういう戦略・戦術で勝つかによっても、獲得する選手の選択は変わってきます。

少ない得点で守って勝つチームを作るのであれば、投手中心の補強や守備力のある選手獲得が方針になります。

しかし、そうは言っても、即戦力ばかりがドラフト市場に存在するわけではありません。
むしろ、1年目から活躍できる選手の方が圧倒的に少数です。

いくら社会人野球や大学野球で実績のある選手であったとしても、
アマとプロの世界は全くの別物。

数多くの期待された選手が、その期待以上の成績を上げられず去っていくのがプロの世界です。

だからこそ、スカウトたちは分析するわけです。
1年目で、成績を上げるポテンシャルはどれくらいあるのか?
2年目、3年目以降、成績を上げるポテンシャルはどれくらいあるのか?と。

このように分析した結果、ポテンシャルがあると見なされた選手がドラフト会議で指名されるわけです。

しかし残念ながら、実際にその期待以上の成績を上げられるのは、ほんの一握りなのです。
だからこそ、ドラフト会議では、複数名を指名します。

今年最も少ない指名数はソフトバンクの5人、最も多い指名数はDeNAの9人でした。
(12球団平均6.83人)

プロ野球の人材採用と育成

プロ野球の世界における人材採用と戦力化のフローをまとめると、以下のようになります。

(1)アマ野球のマーケットのなかから、将来的にプロ野球の世界で活躍する「ポテンシャルのある選手」をドラフト会議で複数名、指名する

(2)「ポテンシャルのある選手」に対して、練習や2軍での実戦を繰り返すことで、「プロで通用する選手」に育成する

(3)育成してきた選手のなかから、今シーズン活躍のポテンシャルがあると考えられる選手を「1軍選手」として登録する

(4)投手なら登板の「機会」を、打者ならバッターボックスに立つ「機会」を与える

(5)「機会を与えられた選手」のうち、見事、実績を上げた選手が「1軍定着」する

最終的に、1軍に定着し、活躍し続ける選手はほんの一握り。
プロ野球選手(支配下登録選手)の数は、各球団70名までと決まっていますので、×12球団で、合計840名。

今年ドラフト指名された人数は82名ですから、840名のうちの約1割が戦力外通告を受け、球団を去っていく計算です。

営業目標達成のための「ドラフト会議」しませんか?

企業間競争の更なる激化が続くビジネスの世界でも、これは同様です。
目標達成を実現させるために必要な「即戦力の予材」を会社側が潤沢に用意し、営業パーソン一人ひとりに手渡すことなどできません。

ですから、「予材管理」の出番なのです。

(1)マーケットのなかから、将来的に自社の商材を購入する「ポテンシャルのある顧客」をいくつか設定する

(2)「ポテンシャルのある顧客」に対して、種まき水まき活動を行うことで、「予材資産」を育成する

(3)「予材資産」のなかから、今期購入するポテンシャルがあるというアイディア・仮説を「白地」として予材管理シートに登録する

(4)営業活動を実施することで「白地」を「仕掛り」にする

(5)「仕掛り」のうち、一定の割合が「見込み」となる

最終的に、見込みとなるのは一握り。
それでも、これらの活動サイクルを回し、目標の2倍の予材を仕込むことにより、最低でも目標達成させる営業マネジメント手法が予材管理です。

清宮幸太郎選手のように、超目玉の予材は現実にはなかなかありません。
そもそも、清宮幸太郎選手がいれば、勝てるチームになり、リーグ優勝、日本一になれるわけではありません。

営業も同じです。

ポテンシャル分析し、コツコツと一つひとつの予材を育て上げ、今期の数字に結びつけていく、そんな地道な活動が必要です。