コンサルタントの酒井です。
「宿題ちゃんとやってきたか!?」
「部活が忙しくて、やれなかった!!」
「前回もやってないし、ダメじゃん!」
私は今から11年前まで、学習塾の先生をしていました。
大学卒業後、学習塾運営会社に就職。
教室長として教室運営のマネジメント業務をするかたわら、授業に入って、学習指導もしていました。
当時は、小中学生には全教科、高校生には国語、英語を中心に指導していました。
そこで、突然ですが、みなさんに国語の問題を出題したいと思います。
3つの動詞の違い、わかりますか?
中学国語の文法問題です。
次の言葉を他動詞にしてください。
- 始まる
- 変わる
- 上がる
さあ、どうでしょうか?
中学国語の文法問題とは言え、「“他動詞”ってなんだっけ?…」そう思われた方もいたかもしれませんね。
動詞の分類の仕方はさまざまですが、主な分類の一つとして、「自動詞」と「他動詞」という分類があります。
たとえば、
- 手紙が届く(自動詞)
- 手紙を届ける(他動詞)
「届く」と「届ける」は、ある物が目的地に行き着くことを表していますが、まったく同じ意味ではありません。
「届く」は、「手紙」それ自身のはたらきとして表しています。
「手紙」は動作・作用をする側であり、影響を受ける側ではありません。
「届ける」は、「手紙」に対するはたらきかけとして表しています。
「手紙」は動作・作用の影響を受ける側にあります。
動作・作用をそれ自身のはたらきとして表す動詞を自動詞といいます。
動作・作用を他に対するはたらきとして表す動詞を他動詞といいます。
ちょっと分かりにくいですね。
- それ「自」身が「動」くから、自動詞
- 「他」を「動」かすから、他動詞
と捉えれば、理解しやすいと思います。
ちなみに、自動詞と他動詞は、動詞にかかる修飾語に着目することでカンタンに判別することができます。
自動詞
- 火が消える
- スマホが落ちる
- 靴が壊れる
- 木が倒れる
他動詞
- 火を消す
- スマホを落とす
- 靴を壊す
- 木を倒す
「~が」という形の文節を受けている、「消える」「落ちる」「壊れる」「倒れる」は自動詞
「~を」という形の文節を受けている、「消す」「落とす」「壊す」「倒す」は他動詞
と判別できます。
結果が「出た」「出した」の違いとは?
さて、自動詞と他動詞の違いを理解していただいたところで、問題です。
次のそれぞれの文章の動詞が、自動詞か他動詞か答えてください。
- 結果が出た
- 結果を出した
答えは、(1)出た…自動詞 (2)出した…他動詞
ここまでは大丈夫ですね。
では、もう一問。
営業パーソンにとって、(1)(2)のうち、どちらが評価されるか、その理由を付けて回答してください
どうでしょうか?
答えは、(2)結果を出した です。
理由は…
「結果が出た」は、自分の力ではなく、外部環境など何かしらの自分以外の力が働いた結果です。
自分以外の力で出ている結果であるため、今後も継続的に結果が出続けるかどうかの再現性が確認できません。
一方、「結果を出した」は、主語を「○○は」と置くことができます。
つまり、結果を出すに値する計画を立て、実行し、試行錯誤を繰り返した主体があります。
主体がある以上、今後も継続的に結果を出し続けられるかどうかの再現性を検証することができます。
- たまたま運が良くて、結果が出た
- 景気の影響を受けて、結果が出た
- マーケットのトレンドを捉え、良い商品がリリースされたので、結果が出た
これら結果の主体は、自分ではなく、運や景気や商品なわけです。
それでは、評価できません。
私はアタックス・セールス・アソシエイツの採用担当ですので、定期的に面接を実施しますが、「結果が出た人」なのか「結果を出した人」なのかを、選考時に客観的に見極めています。
予材管理は、結果を出すマネジメント手法。
壁マネジメントは、行動を変えるマネジメント手法。どちらも再現性のあるある成果を導き出すマネジメント手法です。
「結果が出た」と「結果を出した」は、まったく同じ意味でないことをご理解いただけたのではないでしょうか?
では、最初に出題した問いに戻ります。
次の言葉を他動詞にしてください。
- 始まる
- 変わる
- 上がる
答えは、
- 始める
- 変える
- 上げる
ぜひとも、
- 予材管理を始め、
- 自分(部下)の行動を変え、
- 成果を上げていただきたい
そう願っています。