予材管理の現場から 予材管理ブログ

ゴッホが教えてくれた、守破離


コンサルタントの岩山です。

自宅の寝室に、一枚の絵を飾っています。
それは、「夜のカフェ・テラス」のレプリカ。

ゴッホが生み出した絵画の中でも有名な一枚なので、『あ~、これか!』と知っている人も多いでしょう。
自宅に飾っているレプリカは、お金に少し余裕が出てきた20歳そこそこの時、購入したもの。
購入以降、4回の引っ越しを重ねましたが、その絵はずっと私とともに付いて回りひっそりと自宅を彩っています。

2月の連休、京都国立近代美術館で開催されている「ゴッホ展」を訪れました。

ゴッホは、「ひまわり」をはじめ「種まく人」「寝室」「オヴェールの教会」「糸杉と星の見える道」など代表作が多くあります。

しかし、今回のゴッホ展におけるサブタイトルは“巡りゆく日本の夢”。
ゴッホは、日本の絵画、特に浮世絵から影響を受けていたのだとか。

例えば、歌川広重に触発されて描いた「日本趣味・梅の花」という絵がありますが、そこでは絵の両脇に日本語が書かれています。
また、「タンギー爺さん」では、こちらに向かって座る老人を描いておりその背景は、数枚の浮世絵や日本画になっています。

ゴッホ自身が日本にやってきたことはないものの、周囲の影響で、日本画や浮世絵に興味を持ったそう。

今回展示された作品の中にも、ゴッホの描いた浮世絵がありました。
が、その色合いや構図は、私達の知る浮世絵とは異なります。

女性の着物は、日本画では見たことのないほどビビッドであり、また女性のみならず、鶴や蛙も描かれている。
ある種の既成概念、「浮世絵のセオリーとはこういうもの」「こうあるべき」を持っている人では到底描けないようなものに仕上がっている。

だが、展示作品にじっくり目をこらすと、ゴッホは必ずしも奇をてらったことをやってのけたのではないと分かります。

なぜなら、展示会ではおびただしい量のデッサンもまた取り扱われていたから。
そこからは、彼の独自性や創造性は読み取れない。ただひたすら模写したのだろうと推測できます。

ここから何が言えるか。

ゴッホは「守破離」を忠実におこなっていたのでしょう。

はじめて浮世絵や日本画に触れ、まずは一心に模写に取り組み、構図や色合いを真似たはず。

だが、丸写しするだけなら、ただの猿真似にしかならない。

そこから彼の独自性、代表作「ひまわり」が象徴するような鮮やかな南国らしい色合いを、着物の色に取り入れる。
その上で、お手本を凌駕しようと試行錯誤しついにはオリジナルとは異なる、独創的な絵を完成させました。

まさに「守破離」と言えるのでしょう。

何もこれは、芸術の世界にのみ通ずる話ではありません。

営業活動の「守破離」とは?

例えば、当社の提唱する予材管理を用いて成果を出している組織も、「守破離」を実践しています。
「予材管理のすべて」をはじめ書籍の隅々にまで目を通し、まずはその通りに実行。

■ご参考「予材管理のすべて」(横山信弘 著)」

次に、自社の事業やビジネスモデルにおいて予材管理をおこなうにはどのように運用するのが適切なのか、頭をひねらせる。

そうしてトライ&エラーを繰り返す中で、ベストな手法を見つけていくのです。

もしかすると、最後にたどりついた方法はオリジナルとの相違点が発生しているかもしれません。

しかし、

「予めリスクヘッジを加味しておく」
「仮説を立てて能動的な営業活動をおこなう」
「短期的ではなく、中長期的な視野で数字を見る」
「個別具体的な案件(仕掛り)をこねくり回すのではなく、白地に特化してマネジメントする」

これらの本質さえブレなければ、そして成果が出れば、最初に学んだ理論と、到着地点が少々異なっていたとしてもそれはそれで、一つの手法として確立されたと言えます。

ともあれ、はじめにおこなうべきは「守」。

基本に忠実に、実行・実践するのが成果を出す上で、もっとも近道なのです。