予材管理の現場から 予材管理ブログ

ハリルホジッチ解任から考えること


コンサルタントの酒井です。

「選手とのコミュニケーションや信頼関係が多少薄れてきた」

4/9(月)朝、衝撃的なニュースが報じられました。サッカー日本代表のハリルホジッチ監督の解任が発表されたのです。

日本サッカー協会の田嶋幸三会長は、同日開かれた会見で、3月のベルギー遠征での「マリ戦、そしてウクライナ戦、この試合の期間、後において選手とのコミュニケーションや信頼関係が多少薄れてきたこと」さらに、「さまざまな要素で、総合的に判断してこの決断に達しました」と解任理由を説明しました。

「どうしてこの時期に?」

この解任発表を受けて、そのような印象を持たれた方が多かったに違いありません。W杯本番まで残りわずか約2ヶ月というタイミングでの解任だからです。

記者会見でも、当然このタイミングでの決断に対して、質問が飛びました。

それに対して、田嶋会長はこう説明しました。

「残り2ヶ月しかないと考えると、この時期、状況だからこそ、この決断をした。そのくらいの状況になっていると私は認識していました。常に監督を代えるリスクはあります。代えないリスクもあります。常に比べながら議論してきました。やはり私は、W杯で勝つ可能性を1%でも、2%でも上げていきたい。もちろん監督を代えたから決勝まで行くとか、そういうドラスティックなことは期待していません。ただ、今の状況をむざむざ見ているわけにはいかなかった」

組織に必要な3つの要素

アメリカの経営学者チェスター・バーナードは、組織を成立させるための条件として、3つの要素がそろっている必要があると定義しました。

  1. 共通の目的をもっていること(組織目的)
  2. お互いに協力する意思をもっていること(貢献意欲)
  3.  円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)


サッカーというのは、組織スポーツです。

ピッチ上の11人の選手たちはもちろん、ベンチの選手たちも含め、勝利という組織目的のもと、監督が目指すサッカーを理解し、その実現のために各々が貢献意欲を持ち、役割を果たすべく、常にコミュニケーションを取り続けていくことが必要なスポーツです。

まさに、(1)(2)(3)のうちどれかひとつ欠けても、チームとして成立しません。欠けていたら、その時点で組織とは呼べず、「個人の集団」となります。

個人が好き勝手にプレーすることが許されていたら、サッカーチームとして成立しないことは容易に想像できるでしょう。

そのように考えると、W杯を約2ヶ月後に控えたタイミングとは言え、組織として成立しない状態に現在の日本代表があったとしたら、今回の日本サッカー協会の決断は、当然の決断だと評価できるでしょう。

 

あなたの会社は「組織」になっていますか?

では、あなたの会社はいかがでしょうか?

組織として成立していると言えるかどうか、いま一度、客観的に捉えてみてはいかがでしょうか?

  1. 共通の目的があり、誰もが違わずに言語化できますか?
  2.  共通の目的実現のために、お互いに協力する意思をもっていますか?
  3.  円滑なコミュニケーションが取れていますか?


以上のすべての質問に対して、「YES」と回答できたら大丈夫です。一方、1つでも「NO」という状態であれば、組織として成立していません。

 

個人の集まりを組織にする方法

組織として成立していないとしたら、どうすればいいでしょうか?

リーダーを解任しますか?いえいえ、その必要はありません。

リーダーを解任する前に、組織の3要素を備えるための方法があるからです。それが、予材管理です。

予材管理は、組織営業の文化を築くための手法です。

言うまでもなく、営業組織である以上、営業はもちろん、アシスタントも含め、共通の目的のもと、目標達成のために各々が貢献意欲を持ち、役割を果たすべく、常にコミュニケーションを取り続けていくことが必要です。

では、予材管理を始めることで、どのような組織になるのでしょうか?たとえば、私が支援に入っている会社では、以下のような状態を実現させています。

  • 組織目的から、自らが求められる役割を自らの言葉で言うことができるようになる
  •  ロックした行動をやり切ることができるようになる
  •  ルーティーンの営業フィールドタイム(時間割)を守ることができるようになる
  •  共通認識にもとづいた見込み・仕掛り・白地の定義を言うことができるようになる
  •  お客様が当社を選ぶ理由を仮説で書くことができるようになる
  • 適正予材より不足した分を、新たな白地で充足することができるようになる


個人が好き勝手にプレーして、組織の体を成していない状態を変えたいなら、今からでも遅くありません。

予材管理を正しく行えば、「目標達成させる可能性を1%でも、2%でも上げる」というレベルでなく、「目標を安定的に100%絶対達成させる」というレベルに達することができるに違いありません。

ハリルホジッチ解任の報を受けて、そんなことを考えました。