予材管理の現場から 予材管理ブログ

“壁マネジメントの失敗”と“予材管理の考え方”

コンサルタントの酒井です。

私は、現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。
予材管理を用いた営業支援の傍ら、壁マネジャー養成コースの研修担当もしています。

部下に行動をやり切らせる「壁マネジメント」

壁マネジメントとは、目標から逆算した行動を設定し、やり切らせるマネジメント手法。
正しく実践することで、目標達成から逆算した行動指標・行動量を設定し、部下に対して期限までにやり切る習慣を身に付けさせることができるようになります。

11月~3月に開講した第5期・壁マネジャー養成コースは東名阪で約80名のマネジャーに参加していただきました。

ほとんどのマネジャーの組織が、それまで営業個人任せに自由に行動させている状態。組織としての共通の行動ルールがないため、その設定をすることから、研修はスタートします。

約80名のマネジャーのなかで、目標達成から逆算して、月間60件(週間20件)のお客様訪問することが必要と考え、行動ルールに設定したマネジャーFさんがいました。

最初の1ヶ月間は、行動ルールをやり切らせるのにとても苦労。植え付いてきたこれまでの習慣を変えるのはそんな簡単なことではありません。

しかし、Fさんは介入ルール(マネジャーの部下指導ルール)をやり続けることにより、部下たちは次第に2ヶ月目からやり切ることがあたりまえになってきました。決めた行動ルールをやり切らせるマネジメントができたわけです。

部下の行動から営業活動の問題点が見えてくる!

壁マネジメントは、それで完成ではありません。上述したとおり、壁マネジメントとは、目標から逆算した行動を設定し、やり切らせるマネジメント手法。

決めた行動ルールが目標達成という成果に繋がらなければ意味がないのです。ですから、壁マネジャー養成コースでは、行動をやり切った結果、その行動が成果に繋がっているかを検証し、行動ルールを改善させ続けていきます。

そこで、Fさんの部下たちの行動ルールの取り組みを分析、検証したところ、こんな実態が浮かび上がりました。

それは、同じ会社に訪問し続けていたのです。ある営業は、月間60件のお客様訪問のうち20回も、同じ会社の同じ担当者に訪問していたのです。

たしかに月間60件の訪問はしているので、訪問件数のルールは守っています。しかし、それでは成果に繋がる行動ルールにはなりません。訪問先の設定も含めてルール化をせねばならないということです。

まずはお客様訪問の大量行動をルール化し、そのルールをやり切らせることも重要ですが、そうするとよくあるのが、この事例のように、行きやすいお客様のところばかりに行ってしまうということです。

そこで、壁マネジメントだけでなく、これから予材管理をスタートする方には、まずやっていただきたいことがあります。

それは予材ポテンシャル分析です。

客観的な事実でお客様のポテンシャルを考える

予材ポテンシャルとは、「将来的に自社が取引できる可能性のある予材の総量」です。

予材資産を増やすには、「今すぐに仕事をくれるお客様」を相手にするのではなく、今すぐかどうかは別にして、「将来的に自社が取引できる可能性のある予材の総量が大きいお客様」に対して「種まき」「水まき」活動を続ける必要があります。

予材ポテンシャルのあるお客様を選定するには、まず選定条件を決める必要があります。
条件は、客観的な事実に基づくものでなければなりません。

たとえば、
「従業員が10人以上在籍している会社」
「売上が100億以上ある○○業界の会社」
「工場の敷地面積が1000㎡以上ある会社」
など

この条件の対象であれば、最低でも年間○○○万円の予材ポテンシャルがあるだろうと仮説を立てることができるわけです。

予材ポテンシャル分析はとても重要です。

我々が予材管理のコンサルティング支援に入る場合には、支援開始前に経営幹部や営業マネジャー、あるいはマーケティング部門担当者とともに、予材ポテンシャル分析を行い、その後、現場指導に入るのが、標準になっています。

みなさんも予材管理をスタートする際には、予材ポテンシャル分析からスタートしてください。

予材ポテンシャル分析についてさらに詳しく知りたい方は、個別にご質問いただくか、
書籍『最強の経営を実現する「予材管理のすべて」』第3章“「予材の埋蔵場所」を正しく特定する方法”をお読みください。

ちなみに、Fさんの組織は、予材ポテンシャル分析をして、予材ポテンシャルのあるお客様をKPIカウントシートに書き出して、営業担当1名につき、10~20社に対する「種まき」「水まき」活動をやり始めています。

「今すぐに仕事をくれるお客様」ではないですから、「種まき」「水まき」活動の成果はまだこれからですが、またこの予材管理ブログでご紹介できればと思います。