コンサルタントの酒井です。
ある日帰宅すると、妻が「頭が痛い」と言い出しました。しかし、家には常備薬がありません。そこで、私は急いでドラッグストアに頭痛薬を買いに行き、飲ませました。
すると、しばらくして治まったようで、安心しました。しかし、次の日の朝、また「頭が痛い」と言い出したのです。
結局その後、頭痛薬がなくなるまで飲み続けましたが、症状は一向に改善しませんでした。
では、なぜ妻は頭痛が治らなかったのでしょうか?それは、頭痛薬を飲ませるという私の行為が、正しくなかったからです。
つまり、問題に対する解決方法が正しくなかったのです。
言うまでもないことですが、解決方法が正しくなければ、問題は解決しません。
では、「頭が痛い」という妻に対して、なぜ私は解決方法を間違えたのでしょうか?
解決方法を間違える多くの場合、それは思い込みが原因と言われています。私の場合は、「頭が痛いのは風邪だからに違いない」と思いました。だから、薬を飲めば治るだろうと考えたのです。
しかし、妻は風邪ではありませんでした。「頭が痛いのは風邪だからに違いない」というのは、ただの思い込みだったわけです。
では、思い込みを防ぐためにはどうすればいいでしょうか?それは事実に基いて考えるということです。
問題を解決するには、3つのステップで考える必要があります。
(1) Where
(2) Why
(3) How
(1)Where
まずは、「問題の所在」を考えるステップです。
この場合、「頭が痛い」という状態が起こった問題の所在はどこにあるのか、事実に基いて考えるのです。
妻の場合、様々な情報を集めて、分析したところ、ある事実が分かりました。それは、睡眠不足が慢性的に起こっているという事実です。
(2)Why
問題の所在を特定したあとにおこなうのは、その問題が起こっている「原因」を探るステップです。
妻の場合、睡眠不足が慢性的に起こっている原因を探るのです。
たとえば、
・枕が合わないから
・7ヶ月の娘の寝付きが悪いから
・猫が夜明け前に騒ぎ出すから
というようにいくつかの原因が考えつきます。
考えついた原因をさらに掘り下げていくと、真因が分かってきます。
- 枕が合わないから →(Why)→ 今の枕をずっと使い続けているから
- 7ヶ月の娘の寝付きが悪いから →(Why)→ 昼寝をよくするから
- 猫が夜明け前に騒ぎ出すから →(Why)→ お腹が減るから
(3)How
最後のステップは、解決方法の検討です。問題の所在が特定でき、その原因が分かって初めて、解決方法を考えられます。
(2)の原因を受けて、
- 新しい枕を購入する
- 昼間に娘と散歩に行く
- 就寝前に猫のエサを多めに皿に入れておく
という解決方法が考えられるわけです。
このWhere→Why→Howのステップで考えるのが、正しい問題解決手順です。
このステップで考えずに、いきなりHowから考えることを「How思考」と言います。
「頭が痛いのは風邪だからに違いない」と思い込んで、「薬を飲む」という打ち手を出した私は典型的な「How思考」になっていました。その結果、頭痛という問題を解決できなかったのです。
では、あなた(あなたの組織)の営業目標が達成しないという問題があった場合、どのようなステップで考えればよいでしょうか?
この場合も、Where→Why→Howのステップで考えれば、営業の問題解決に繋がる打ち手を導き出すことができます。
営業目標達成するための問題解決手順(1) Where
まずは、営業目標が達成しない問題の所在(Where)を明らかにします。
・営業担当のAさんは、よくがんばっているが目標達成しない
・営業担当のBさんは、がんばりが足りないから目標達成しない
といったように、主観的な思い込みではいけません。
問題の所在は「客観的な事実」である必要があります。「客観的な事実」でなければ、問題の所在が明らかになったとは言えません。
ただし、「客観的な事実」を明らかにするのは容易ではありません。そこで、登場するのが「予材管理」です。
予材管理を使うことで、「客観的な事実」を明らかにすることができるのです。
「予材管理」をおこなうことで、私のコンサルティング先企業では、以下のような「客観的な事実」が明らかになりました。
【営業担当のAさん】
・月間の訪問計画件数(KPI)100件に対して120件
・適正予材規模(目標の200%)がない
見込み80%・仕掛り40%・白地50%=予材合計170%
【営業担当のBさん】
・月間の訪問計画件数(KPI)100件に対して80件
・適正予材規模(目標の200%)がある
見込み70%・仕掛り20%・白地110%=予材合計200%
このことから、整理すると以下の問題の所在が明らかになりました。
【営業担当Aさん】
・KPIはやり切っている
・白地が50%しかなく、見込み80%+仕掛り40%で120%あるものの、適正予材規模200%に足りず、目標未達成リスクが高い
【営業担当Bさん】
・KPIはやり切っていない
・見込みと仕掛りの合計が90%しかなく、白地は110%あるものの、目標未達成リスクが高い
営業目標達成するための問題解決手順(2) Why
次におこなうのは、この状態になっている原因(Why)を探ることです。
【営業担当Aさん】
・適正予材規模200%ない
↓Why
・白地を設定できていないから
↓Why
・引き合いの仕掛りの対応に追われているから
↓Why
・KPI対象が仕掛りの顧客だけになっているから
【営業担当Bさん】
・見込み+仕掛り=90%しかない
↓Why
・白地110%の仕掛り化ができていないから
↓Why
・白地件数の60%が活動予定日の遅延が起こっているから
(3)How
(2)をおこなうことで、現在の状態になっている真因がわかりました。ここまで来てはじめて、解決するための打ち手を考えます。
【営業担当Aさん】
- 白地を+30%分設定する
- すべての白地顧客を訪問計画(KPI)に落とし込み、活動する
【営業担当Bさん】
- 白地対象ごとに仕掛りにする期限とアクションプランを決める
- 訪問計画(KPI)を100%活動する
予材管理を正しく運用することで、このように、
(1) 問題の所在を特定し、
(2) その原因を分析し、
(3) 解決の打ち手を考える
ことができるようになりました。
予材管理クラウドを導入して、当社のコンサルティングを受けている企業は、定期的に「予材管理運用分析シート」をもとに、課ごと、営業担当者ごとに、目標達成というあるべき姿と現状との間にあるギャップについて、
(1) どこに問題があるのか
(2) その原因は何なのか
(3) どんな解決方法が有効か
を考えていきます。
私は、マネジャーや各営業担当者が予材管理運用分析シートに基いて、(1)(2)(3)のステップで考えることができるように支援をしているのです。
もし、あなたが頭痛で悩んでいるのなら、予材管理を導入することで、治るかもしれません。
目標が達成しないというのが頭痛の原因であれば、「予材管理」が間違いなく、あなたにとって最高の打ち手になるでしょう。