予材管理の現場から 予材管理ブログ

予材資産を形成するときによくある組織の勘違い


コンサルタントの桑原です。

現場指導において、多くの営業パーソンが混乱するのが「予材資産の形成」です。

予材資産とは、書籍「予材管理のすべて」(P.53)にあるように「予材ポテンシャル」のあるお客様のうち、まだ取引はないが、当社の強みや商品の魅力について認知している相手先のことを指します。

この予材資産を形成するのに重要な活動が「水まき」「拡張」における「潤沢な行動」です。潤沢な行動をめぐって現場で良く発生する「組織の勘違い」を2つご紹介します。

1.潤沢な行動 = 潤沢な訪問ではない

「潤沢な行動」と聞くと多くの方が訪問など顧客との接触“のみ”に焦点をあわせ、限定的に解釈します。

もちろん、訪問など顧客との「接触」はその先につながる重要な行動指標(KPI)で、営業現場でロックするのも「接触」であることがほとんどです。
※ロックするとは、決めたことをやりきることを指します

接触すらままならないうちは、接触のみに焦点をあわせ、大量にやり切ることを習慣化させることがまずは大切です。

訪問などの接触をKPIとして設定すると、その対象や時間、接触したときに何を言うのかなど、複数の、そして多くの「やるべきこと」が見えてきます。

行き先、会う人、訪問前の布石、事前に入れる知識、お会いした後のフォロー。

あらかじめ定めた訪問などの接触指標をやり切りながら、目標達成にむけ必要なこと、やるべきことを全部やる。これが潤沢な行動です。

2.あれもこれも設定しない

やるべきことが複数見えてくると、その全てをマネジメントルールとして設定をしたり、それにともなう管理ツールを作りこんだりしがちです。

結果を急ぐ気持ちはわかりますが、人間が一つの行動を習慣化するのに、最低でも6か月から8か月間の期間が必要になると言われています。

設定したKPIがやり切れていないにも関わらず、中身やそれにかける時間などに言及すればするほど、本来の目標から焦点がずれます。手段であるはずのKPIやそれにともなう行動、ひどいときは管理ツールに焦点が移ってしまいます。

このような状態を「手段の目的化」といいます。

今回ご紹介した2つの勘違いは「目標達成があたり前」という意識の高いマネジャーのもとで良く発生します。

  • 接触するのだから、前後の準備は「あたり前だろう」
  • いろいろ設定しても、焦点を目標にあわせるのは「あたり前だろう」

目標達成に必要な予材資産が形成されていない、ということは優秀な営業パーソンが「あたり前」だろう、と思う「水まき」「拡張」およびそれにまつわる行動を優秀な営業パーソン以外がやってこなかったということです。

つまり、組織として予材管理資産の形成に取り組んでこなかったということです。

やるべきことをもれなくやり、組織の状態をよく見て、ひとつひとつ習慣化させることで「予材資産を形成」していきたいですね。