コンサルタントの酒井です。
FIFAワールドカップ・ロシア大会。日本代表はFIFAランキング3位のベルギー代表に2対3で惜しくも破れ、残念ながらベスト8を逃す結果となりました。
しかし、優勝候補の一角であるベルギーを最後の最後まで苦しめた戦いは、まさに熱戦。日本国内だけでなく世界中のサッカーファンを興奮させるゲームでした。
連日熱戦が繰り広げられていますが、今大会から初めて導入され、ゲームの結果に大きな影響を与えている存在があります。
それは、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)です。
VARとは、
(1)ゴールやゴール直前のプレー
(2)PK
(3)一発退場
(4)審判による選手誤認
の4つの場面において、審判が必要と判断した場合に、リプレー映像を見たうえで判定を行うというものです。
VARのオペレーションルームがあり、実際の試合会場にいる4人の審判とオペレーションルームはヘッドセットで連絡を取り合い、審判側から要求するだけでなく、オペレーション側からも連絡をとれるようになっています。
誤審と思われるプレーがあった場合、オペレーションルームが主審に連絡をし、主審はそれを受け入れるか、ピッチの外に設置されたモニターで見てから判定を下すのです。
FIFAの発表によると、グループリーグ48試合で計335件(1試合平均約6・9件)のプレーがチェック対象となり、うち17件でVARによる映像の見直しを実施。そのうち14件で判定が変更されたとのこと。また、主審の判定はVARがなくても95%が正確なものでしたが、VARの導入で99.3%にまで上がったといいます。
例えば、ドイツと韓国のグループリーグ最終戦。後半アディショナルタイム、コーナーキックからの二次攻撃で、ゴール前にいたキム・ヨングォンが押し込み、韓国が先制点を上げた場面。
先制点に大喜びする韓国でしたが、すぐに副審がオフサイドフラッグを上げて、「ノーゴール」の判定を出しました。
たしかに、キム・ヨングォンがパスを受けたのは、明らかにオフサイドポジションでした。ゴールは取り消しかと思われましたが、主審はVAR判定を要求。すると、リプレー映像にはドイツの選手が最後にボールに触っているところが映し出されていたのです。
結果、そのリプレー映像をもと、判定は「ゴール」に覆りました。
まさにVARがなければ、誤審となっていた場面でした。
しかし、ドイツと韓国の選手が重なり合うゴール前で、どちらの選手が最終的に触ったのかを人間の目で捉えるのは、審判がどれほど良いポジションにいたとしても難しいものです。
韓国はその後1点を追加し、前回大会王者ドイツに勝利。ドイツはこの敗戦により、グループリーグ敗退となりました。
まさに、VARが結果に大きな影響を与えたのです。
予材管理クラウド=VAR
ピッチ上で起こっている出来事を客観的な目で見る。そして、ルールに基づいたプレーが行われているか、正しくジャッジする。
まさに「予材管理」は、営業現場におけるVARの機能を果たすことができるものです。
予材管理は、営業現場で起こっている現状を客観的な目で見ることができ、また目標を達成させるために決めたルールが正しく運用されているか、ジャッジすることができるものだからです。
しかしながら、予材管理は導入しさえすれば、誰もが正しく運用できるわけではありません。
それは、審判がピッチ上にいると、完璧に正確なジャッジができないのと同じです。マネジャーは営業担当と同じピッチ上にいると、正確なジャッジができないことがあるからです。
先日、あるコンサルティング先のマネジャーから定例の報告メールがありました。その定例メールには、以下の記載がありました。
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■部下たちは行動ルールをやり切れているか?
やれています。
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私は報告を絶対に鵜呑みにしません。必ず事実に基づいた報告なのかを確認します。KPIカウントシートで事実を確認したところ、週間行動計画が65件に対して、行動実績が49件だったのです。
「やれてないじゃないか」
事実と異なる報告であったため、問い正すと、「概ねできているので”やれています”と報告してしまいました」とのことでした。
部下のがんばっている様子を日頃から見ていると、マネジャーは主観が入り、正しい指導ができなくなることがあります。
定量的な行動指標があるのなら、やれているかどうかを客観的に見て、指導できなければいけないにもかかわらずです。
弊社では、このようなマネジャーをサポートするために、「予材管理ダイレクト支援」を行っています。
「予材管理クラウド」というツールを活用し、予材状況を弊社コンサルタントやスタッフとリアルタイムで共有し、定期フォロー電話や定期フォローメールなど必要なサポートを受けることで、運用を停滞させることなく、確実に予材管理の定着を図る支援です。
まさに、ワールドカップで導入されたVARと同じ役割を担っている支援体制と言えるものです。
VARのオペレーションルームではビデオを再生し、角度の違う映像に切り替えたり、ズームしたりして、事実をチェックしますが、我々コンサルタントやサポートスタッフは、予材管理クラウドをさまざまな角度で分析し、問題箇所を特定し、指摘をしているのです。
「事実」をもとにマネジメントする
マネジメントは「感覚」でするものではありません。
「最近、アイツは頑張っている」
「前向きにやっていこうとする気持ちを感じる」
といったような「感覚」による主観的なジャッジは大変危険です。
マネジメントは「感覚」でなく、「事実」に基づいて、行わねばなりません。
「目標達成に必要な予材が2倍仕込まれている」
「予材に対する行動計画は100%実施されている」
といったように、「事実」による客観的なジャッジが必要です。そうしなければ、PDCAを回せませんし、目標達成させることはできません。
「事実」を正しく捉えられなければ、改善の打ち手を間違えてしまいます。
VARの導入で99.3%にまで判定の正確性が上がったように、予材管理を使って正しく運用することができれば、「事実」に基づいて、正しいマネジメントサイクルが回せるようになります。