コンサルタントの岩山です。
ある週末、浴衣を着た女の子を見かけました。
「もうそんな時期か・・・」
5歳くらいの可愛らしい女の子。めったに着ることがない浴衣に袖を通しているからでしょうか。下駄をカラコロいわせながら飛び跳ねるように歩くその顔には、嬉しそうな笑みが浮かんでいます。
目をやると、浴衣の絵柄は紺色の朝顔、帯はピンク。そして基調となる浴衣は、白地。 ・・・ん、白地?
そう―白地(しらじ)です。
妄想力を爆発させろ!
白地とは、弊社の提唱する予材管理メソッドにおいて、「仮説」「アイディア」「妄想」「決意表明」と定義しています。
引き合いや商談中の案件とは異なり、お客様もまだ認識しておらず、営業パーソンが想像力や妄想力を働かせて勝手に考えたもの。だから、「仮説」としているのです。
例えば、
- あのお客様にこのサービスをご提案したら、喜んでいただけるかもしれない。
- 今まではXという商品でしか注文をもらっていなかったが、もしかするとYやZも提案できるかもしれない。
- 隣の部署や他支店にもご紹介できるかもしれない。
- これまで取り組んでいなかった「展示会」に出展することで新規顧客を獲得でき、名刺交換した人のうちの2割からこれくらいの規模の予材が生まれるのではないか?という白地が描けるかもしれない。
こうしたものは、すべて白地。なぜなら、例文の末尾に「~かもしれない」と付いているように、あくまでも営業サイドが勝手に立てた仮説だからです。
なぜ仮説を立てる必要があるのか? それは、仮説を立てることで、営業マンがお客様との認識をすり合わせをしていけるからです。
ですから、営業マネジャーは「白地」に対して特に注力してマネジメントすることで、営業において成果を出せると言えるでしょう。
仮説を立てて、お客様にぶつける。それは、いわば腕のいいマッサージ師と非常に近しいかもしれません。
体の状態を見たり実際にお客様からヒアリングをおこなって、『凝りがひどい箇所はこのあたり? それともココ?・・・』と、目星をつけてツボを押し体のコリをほぐしていく。仮説を立ててマッサージをおこなうのです。
もしそれが、お客様が凝りを感じている場所と異なれば、「ソコじゃなくて、もうちょっと右!」「違うッ、あっそこそこ、気持ちいい~」と言っていただくことで、マッサージ師はマッサージをする部位や力の強弱を調整する。こうしてお互いの認識をすり合わせていくことができます。
営業が「仮説」を立てるためには?
では、マッサージ師ではなく営業パーソンが仮説を立てるにあたって、どのような切り口で考えたらよいのでしょうか?
その手法は色々さまざまありますが、ひとつの方法として「悩みベースで考える」というものがあります。
試しに、ここ最近で受注になった案件をいくつか思い浮かべてみてください。そこからさらに、
- お客様は、なぜその商品・サービスを購入したのか?(購入理由)」
- 「商品の購入を通じて、お客様はどのような悩みを解決しようと思ったのか?」
まで、深掘りして考えてみます。
そうして出てきた「悩み」を並べた時、同じ悩みを抱える別のお客様に対して、仮説を立てられることに気が付くはずです。
本来、仮説を考えるのはとても楽しいこと。なぜなら、白地の段階ではまだ「妄想」「仮説」で構わないと言っているため、実現可能性については二の次だから。ならば、日頃から考える習慣が身に付いていれば、アイディアや妄想は次々とわき出てくるからです。
もしあなたが、「白地がなかなか思いつかない」「仮説なんてどうやって考えりゃいいんだ・・・」と思っているのなら、それは普段から考えていない証拠。そんな時は一度、「悩みベース」で白地を考えてみてはいかがでしょうか。