コンサルタントの酒井です。
「手順って大事だな」と考えさせられる話をある方から最近聞きました。小学生のお子さんを持つお母さんからです。
現在小学2年生のお子さんは、公立の小学校には通っておらず、NPO法人が運営する小中高一貫校に通っています。
その学校の教える「手順」に考えさせられたのです。
ふつう、私たちは文字を勉強するとき、ひらがなから覚えたと思います。
あいうえお、かきくけこ、さしすせそ…
その次にはカナカナでしたでしょうか。
アイウエオ、カキクケコ、サシスセソ…
しかし、その学校ではひらがなやカタカナは1年生や2年生の段階では教えないそうです。では、何を教えられるかというと、いきなり漢字です。
「日」という漢字はどうして、こういう形をしているのかな?それを1日考えるのだそうです。
太陽はまるい形だから、「口」と表して、中がからっぽのまるい輪でなくて、中身があるから中に線を引いて、「日」になった、というように。
考えてみれば、日本での文字の進化というのは、漢字が始まりで、それを平安時代にひらがなやカタカナで誰もが音読できるようにしたわけです。
ひらがなやカタカナを最初に学ぶと、音を文字化することはできます。しかし、漢字を正しく学ばないと、言葉の意味を正しく理解できない状態になってしまうわけです。
「文字の本来の成り立ちの手順で学ぶことは必要なことのかもしれない」そんなことを考える機会となりました。
目標達成のための正しい手順
さて、私は組織の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタントです。
目標を達成させることにおける専門家ですから、医者が人の病気を治す専門家だとしたら、私は組織の病気、つまり未達成という状態を治す専門家と言えます。
膨大な数の組織を見てきたからこそ言えることは、目標を達成させる組織は正しい「手順」を踏んでいるということです。
少しここで考えてみてください。
あなたは目標を達成しない部下を持っていたとします。あなたはマネジャーとして部下に目標達成させるためにどう指導するでしょうか?
さぁ、いかがでしょうか。
今どんな手順を考えたかで、その部下の未来が決まってしまいます。
誤った手順を踏めば、部下の目標は達成せず、ゆくゆくは自信を失って退職してしまうかもしれません。
あと1分時間を取るのでもう一度考えてみてください。
さぁ、いかがでしょうか?
もし、あなたが営業スキルをアップさせるためにロープレに力を入れようと考えたなら危険だと思ってください。最初に断言しますが、目標達成しない問題の所在が、部下の営業スキルが低いことで、改善させないといけない場合であったとしても、それが手順のいちばん最初に来ることはあり得ません。
残念ながら、あなたは部下の可能性を潰しているという自覚を持った方がいいでしょう。
手順が重要だという話なのです。
まず、目標を達成させる専門家として、2つの切り口で部下の現状を捉え、手順を踏むことをお勧めします。
目標達成のための2つの切り口
1.そもそも目標達成する気があるか?
目標達成する気があるかどうかは、部下に聞いてみないとわからないです。しかし、バローメーターがあります。それは「頻繁に相談してくるかどうか」です。
このままでは目標未達成が目に見えているのに相談もしてこないということはそもそも達成する気がないとしか言えません。
何が何でも達成しないといけないと思っていて、達成できない現状があれば、先輩や上司にどうしたらいいか相談するのが普通です。それをしてこないということは、マネジャーであるあなたを信頼していないか、達成する気がないかのどちらかでしょう。
2.決めたことを期限内にやるがあたりまえになっているか?
目標達成というのは、やるべきことをやった結果、得られる状態です。逆の言い方をすれば、やるべきことをやらない限りは得られません。
では何をどれくらいやればいいのかは、目標達成があたりまえになっている人にしかわからないものです。達成したことのない人がわかるはずがないですよね。
だから目標達成のためにやるべきことは本人に考えさせるのではなく、マネジャーが設定しなければなりません。
マネジャーであるあなたは、どれくらい行動しなければ目標達成しないかわかっているはずです。少なくとも下記のように仮説は立てられるはずです。
- 月間1,000万円の目標を達成するには、商材の単価は50万円だから、20個の受注が必要
- 20個もらうには、見積提出から受注率は25%くらい
- よって、最低でも20個×4=80個分の見積もりを出さないといけない
- リードタイムが約1ヶ月なので、月初に80個分の見積もりを出しておかないといけない
- ポテンシャルのある既存A〜Z社のうち15社から60個の見積もりはとれそう
- 残りの20個分は新規でアプローチしないといけない
- すぐに結果に結びつかないとしても、30社のポテンシャルのある先に対して、毎週1回ずつアプローチはとらないといけない
- そうすると、30社×4週=120回はKPIに設定しよう
ここで問題となるのは、これだけのことをやれば目標を達成する可能性があるからやりましょうと部下に言って、部下がやり切ることがあたりまえの習慣になっているかどうかです。
私にご相談いただく会社の多くでは、
- 部下はそもそも目標達成する気があるのか?
- 部下は決めたことを期限内にやり切ることがあたりまえの習慣になっているのか?
で問題が発生しています。
部下の頭の中を見える化するには
目標を達成する気がなく、行動すれば達成する可能性のあることをKPIに設定しても、やり切らないにも関わらず、営業ロープレをしてスキルアップするのは手順がどう考えてもおかしいことはご理解いただけたはずです。
予材管理クラウドなどを活用し、個人ごとの行動や予材状態を客観的に数値で追えば、
- 決めた行動すらしていない(論拠:KPIカウントシートの行動達成率)
- 行動することが目的になってしまっている(論拠:KPIカウントシートと予材管理シートの白地とが連動していない)
- 達成するつもりで行動していない(論拠:白地の選定理由やアクションプランが正しく書けていない)
ということがすぐに読み取れます。
このような状態では、目標達成できるはずがありません。たまたま運良く達成することはあったとしても、安定的に達成し続けることはできないでしょう。
予材管理は、今どのような状態なのか客観的に誰がどう見ても分かる、病院にあるレントゲンのようなものなのです。
ぜひ、皆さんも部下の頭の中を見える化して、今回ご紹介した2つの切り口をチェックいただき、安定的に目標達成できるチームを作っていってくださいね。