コンサルタントの酒井です。
「感動」という漢字は、「感情が動かされる」と書きますが、最近まさに私は感情が動かされる経験をしました。
いつも私が書く予材管理ブログとテイストが異なるかもしれませんが、この感動を少しでも共有したい、そして共有することでみなさんの目標達成のひとつのきっかけとしていただきたい、そんな思いで今回は書きたいと思います。
その日、私は東京からの出張帰りの電車の中で、ある動画を観ていました。
画面に映っているのは、普段より数倍テンションが高い横山信弘(弊社代表)の姿。
常に冷静かつ客観的に物事を捉える普段のそれとは異なり、感情を抑えきれず、興奮のままひたすらしゃべり続ける姿がそこにはありました。
場所は、横山が代表理事を務め、毎月全国で開催している「絶対達成社長の会」、7月の朝会会場。
絶対達成社長の会では、自ら設定した高い目標を見事に達成した方を称賛する「達成披露宴」という時間枠があります。
横山はその日達成披露宴をおこなう方の紹介をしていました。
なぜ横山は普段より数倍テンションが高かったのか?理由は、達成披露宴をおこなう方の達成ストーリーが普通のものではなかったからです。
その方は、T株式会社のSさん。
何が普通ではないかと言うと、Sさんは、3月の時点で7月の達成披露宴を予約し、読み上げる原稿を【3月時点で完成させていた】のです。
Sさんの掲げた目標は、バブル時代の31年前の最高利益額を更新し、過去最高の利益目標を達成させること。
ところが、3月時点であと4ヶ月しかない状況にも関わらず、目標達成率は45%程度しかありませんでした。
そんな状況でSさんは達成披露宴を予約し、読み上げる原稿を完成させました。
私は、画面に映し出されたSさんの達成披露宴の姿を見て、心が震えるほどの感動を覚えました。
今回、Sさんにお願いをして、その原稿を記載するご許可を特別にいただくことができました。以下がその原稿です。
私の達成について お話させて頂きます。
私は、愛知県に住む、Sと申します。愛知と東京に本社を置く、創業177年、設立101年 従業員550名の繊維の専門商社 T株式会社 で課長職をしています。会社としての売上は 約2,000億円 純利益 60億円前後の会社です。
その中で、私が作り出した成果は、6月末の本決算で、私の課(課員11名)の売上78億円 純利益1.1億円 です。 会社全体の数字と比較すると大したことない数字と思われるかもしれませんが、私の課としては、ちょうどバブルだった時代以来 31年ぶりの利益を出すことができました。
実は、私は3月上旬の時点で今日の達成披露宴でお話しさせていただくことが決まっていました。正確に言うと「予約」していました。でも実際に 目標を達成することができたのは、本決算日の6月末です。なんで3月に決まっていたのか。
それは、3月に横山さんに「7月19日の朝会で達成披露宴に出させてください」と私からメッセージを送ったからです。
では、3月の時点で目標達成できそうだったのか。実際は4ヶ月を残し、進捗率は45%でした。1年の2/3が経過しているのに、進捗率は半分以下。
私は、そのような状況の中で、横山さんに「7月19日の朝会で達成披露宴に出させてください」という暴挙に出ました。
でも結果、その暴挙により、達成することができました。その要因は3つあります。
(1) 思考が変わる
みなさん、想像してみてください。まだ達成する保証がなく、あの横山さんに「6月で目標を達成します、7月の達成披露宴に出させてください」と、メッセージを送るんです。送信ボタンを押した瞬間 「やっちまったぁ〜」と思いましたが、同時に迷いもなくなりました。達成することを諦めるという選択肢がなくなりました。
(2) 行動が変わる
目標達成するために、何をするべきか、何をやめるべきか、誰と会うべきか、何を誰に依頼すべきか。毎朝 出勤前6時頃からカフェに行き、徹底的に考え、手帳に記入し、毎日それに沿って行動しました。本当に、無駄な時間が減りました。(3) 周囲の協力
実は、会社から与えられていた目標数字は私の目標よりも低かったです。私は勝手に自分が出したい成果を上乗せして、横山さんにも 上司である部長にも「 この数字を出します 」と伝えていました。
でも、残り1ヶ月の5月末時点でまだ進捗85%。正直、社内では「無理せず 会社内の目標数字でいいんじゃない?」という空気もありました。私も、正直、「頑張ってきたけど、悔しいけど正直ここまでか・・・」と思いました。でもそこでうちの部長が私に言いました。
「 せっかくここまで頑張ってきた、あと1ヶ月頑張ってお前が目指していた目標1.1億円が出せるように皆で頑張ろうぜ 」私は嬉しくて泣きそうでした。
実は、去年の7月から始まった前期は、外部環境によって、今までに経験したことのない苦しい状況でした。
正直、外部環境のせいにして言い訳して、目標数字の達成を諦めかけていました。でも、「こんな厳しい状況だからこそ、高い目標を達成したい」という思いが強くなり、思い切って、横山さんにメッセージを送りました。
そして、3月からの4ヶ月間も色々な葛藤・不安や恐れがありましたが今日のこの日のために、思考と行動を変えました。そして応援してくれる人がいました。結果、私が求めた目標を達成することができました。
この件で気づいたことがあります。
「人間には、自分が思った通りの成果を出すことができる。それを出せないのは、出せない考え方を自分が選択し、出せない行動を自分が選択しているから。そして周りに言い続ければ周りが助けてくれて、必ず目標は達成できる 」ということです。
私がこの場でどうしてもお伝えしたかったこと、それは「毎月、この朝会に参加して勇気を出して自分の目標を言いふらし続けよう」ということです。
人は意思が弱い生き物です。私もほっておくとスグに諦めたり、投げ出したくなります。意思が弱いのが人間です。だからこそ、人の力を借りたらいいのではないかと思います。
この朝会で目標を言いふらし続けることによって、自分の思考と行動がぶれなくなり、周りの人が助けてくれます。そしてそれが現実になっていきます。
この朝会にいる方、名古屋会場の方も本当に素晴らしい方ばかりです。だから私は去年の8月から毎月、欠かさず参加させていただいています。
8月から11ヶ月連続でこの名古屋会場で自分の目標を言い続け、皆さんからいろいろなアドバイスをいただいた結果、そして、横山さんに自分の目標をお伝えした結果、達成することができました。本当にありがとうございました。
本当は、横山さんや皆さんのお力を借りなくても、自分自身に宣言するだけで高い目標を達成するようになりたいです。でも、今の自分にはまだ無理です。だから、この場をお借りして 引き続き皆さんのお力を借りさせて頂きたく、次の目標を宣言させてください。
私の目標は 2019年7月に再度 達成披露宴に出て、みなさんの前で 昨対更にアップの売上80億円、純利益 1.3億円 を達成できました!!と報告させて頂くということです。
私は、「絶対達成社長の会に参加して自分の目標を言い続ければ目標は必ず叶うらしい」という口コミが広がるくらいこの朝会に参加している方々全員が達成し、この朝会から日本経済が活性化し、日本が元気になっていくことを願っています
ご静聴ありがとうございました。
以上がSさんの書いた原稿です。
忘れてはいけないので繰り返しますが、この原稿は目標達成した時点で書いたのではなく、【目標達成率45%程度しかない3月時点で書いた】ものです。
1年のうちの8ヶ月が経過し、あと4ヶ月しかない状況で、Sさんは目標に焦点を合わせ、達成するためのシナリオをあらかじめ描きました。
そして、自身が原稿に書いたとおりに4ヶ月間葛藤しつつも、実際に周囲の手助けもあり、見事に達成させてしまったのです。
予材管理は目標達成までのストーリー
予材管理は、“予定材料状態管理”の略です。
つまり、いま目の前にある案件を管理する従来の営業マネジメントとは異なり、“まだ目の前には存在しない材料を予め定め、その材料を目標達成に必要な状態に変化させていく管理をすること”が予材管理です。
もっと噛み砕いてわかりやすく言えば、“目標達成するためのシナリオを書いて、進捗に合わせて定期的にシナリオを書き換えていくこと”。これが予材管理です。
みなさん、想像してみてください。
期末まであと4ヶ月。目標達成率は45%。目標売上78億円、純利益1.1億円に対して、現状は売上35億、純利益0.5億。つまり、ギャップは売上43億、純利益0.6億。このギャップをわずか4ヶ月間で埋めなければならない。
目の前にある案件だけでは、目標達成なんて絶対にムリ。
しかし目標は絶対達成です。現状から考えるのではなく、目標達成を前提に、期限から逆算する思考が必要です。
「対応できる時間から考えて、予材単価はいくらに設定すべきか?」
「そのポテンシャルがあるお客様はどんなお客様か?」
「それぞれのお客様が困っていることはどんなことだろうか?」
「そのお客様に対し、どんな提案を持っていけば、見積依頼など次のステップに進められるだろうか?」
「どのタイミングで上司を連れていけば、お客様の最終決裁者に直接会えるだろうか?」
このようにあらかじめシナリオを書くのです。このシナリオこそが、予材管理の“白地”です。
目標と現状とにギャップがあり、そのギャップの空白部分を埋めるための仮説やアイディアを“白地”と言います。
未来のことですから誰にもわかりません。未来は神のみぞ知ること。
だから仮説やアイディアは100%の精度は求められません。むしろ外れることのほうが多い。
だから、外れることを想定して、あらかじめ多めに仮説やアイディアを設定しておくのです。
すべてがうまくいくシナリオはつまらない。そんな映画は誰もお金を払って観に行きません。
むしろうまくいかないことがたくさんあるからこそ達成したときの喜びが味わえるものでしょう。
だから、うまくいかないかもしれないシナリオも含め、あらかじめ仕込んでおけばいいのです。
目標の2倍の予材をあらかじめ仕込むということは、最低でも目標達成するためのシナリオを作るということなのです。
目標達成に向けたシナリオを持たずに、目の前の仕事をこなしているだけの人間が目標と現状とのギャップを確実に埋められるはずがありません。
31年前の最高利益額を更新し、過去最高の利益目標を達成させたSさんは、目標達成させるためのシナリオをあらかじめ定めて、ひたすらやりながら試行錯誤を繰り返したという点で、目標と現状とのギャップ(空白)を埋めるために仮説検証を繰り返す予材管理と非常に共通する点があると私は考え、非常に感動を覚えました。
目標達成が前提というのは、ハッピーエンドが前提ということ。
ハッピーエンドになるまでの試行錯誤をあらかじめ描き、実際に試行錯誤と軌道修正を繰り返したSさんのことを私は尊敬します。本当にすごい方だと思います。
実は、Sさんは今、私が講師を務める壁マネジャー養成コースを自費で受講されています。
まさに現在、部下たちのやり切る習慣を定着させているところです。
さらに今後、組織で予材管理を導入すれば、安定的に目標達成するためのPDCAを回せる組織状態になるに違いありません。
目標達成が前提という思考を持ったメンバーを育て上げ、その後、組織で目標達成までのイメージをシナリオとして予材管理上で共有し、組織で試行錯誤と軌道修正を繰り返せば、目標達成しないほうがおかしいです。
私自身もSさんの組織が最強の組織になるシナリオを描き、今後もご支援していきたいと強く思っています。