コンサルタントの岩山です。
先日、バラエティ番組を見ていた時のこと。その番組とは、「アメトーーク!」。
テーマは「緊急!サッカー日本代表 応援芸人」で、ゲストとして、サッカー日本代表のMF・乾貴士選手が登場していました。
今年6月から7月かけて開催された2018 FIFAワールドカップにおいて、乾選手が2ゴールを決めたことは、皆さんの記憶にも新しいことでしょう。
彼の活躍ぶりは海外でも高く評価されており、大会後、「W杯 ロシアで驚きの活躍をした5人」に選出されたほどの実力を持つ選手です。
そんな乾選手が、番組内で芸人からある質問を受けていました。それは、「人生で最高のゴールは?」という内容だったのです。
まぐれのゴールは、最高のゴールか?
どれか一つを選ぶのは難しい、としながらも、「予選でのセネガル戦のゴール」を“人生で最高のゴール”のひとつとして挙げた乾選手。芸人たちからその理由を尋ねられた彼は、次のように答えました。
「セネガル戦でのゴールは、狙い通りに入ったゴールだったから」
一方で、日本代表が決勝トーナメントに進み、臨んだ初戦・ベルギー戦。結果的に敗北を喫したものの、乾が放ったミドルシュートは、チームにとっても日本で応援していたサポーターにとっても、非常に大きな1点となったはずです。
ではなぜ、インパクトを与えたベルギー戦でのゴールではなく、セネガル戦でのゴールを“人生で最高のゴール”として挙げたのか?
彼は続けて、こう話しました。
「ベルギー戦でのゴールは、たまたまであり、偶然。まぐれでしかない」と。
「まぐれ」のゴールに再現性はない
「まぐれ」は、あくまでも「まぐれ」。そこに再現性はありません。
再現性がないということは、運次第。ゴールが決まる時もあれば、決まらないケースもある。もちろん、サッカーをはじめとするスポーツは勝負事であり、対戦相手も鍛え抜かれた生身の人間ですから、上手くいくときばかりではありません。
しかし、運次第では成績も安定せず、それでは、真の実力を兼ね備えているとは言い難い。乾選手はそのことをよく分かっているのでしょう。
だからこそ、まぐれで入ったベルギー戦のゴールではなく、狙い通りにシュートを決めることができた「セネガル戦でのゴール」が、彼にとっての“人生で最高のゴール”。そう判断したと言えるのです。
その受注って、もしかして・・・「まぐれ」?
では、これを営業に置き換えてみるとどうなるでしょうか。
1つは、「まぐれ」の受注。つまり、営業サイドが事前に予想しておらず、棚ボタ的にお客様から相談が入ってきたために得られたラッキーな案件です。
そしてもう1つは、(最終の成約時には、当初の予想と形が変わったとしても)営業パーソンが「予めイメージ・予測していた」案件。
大まかにこの2つに分類した時、あなたの組織・チームでは、どちらの割合が多いでしょうか?
ためしに、受注案件・失注案件、そのすべてを書き並べてみてください。もし、「まぐれ」「偶然」の案件の割合が多ければ、それは真の実力ではありません。なぜなら、そこには再現性がないからです。
「再現性がない」とは、言い換えると、
▼目標達成が運次第
▼仮に今は達成していても、長続きしない
▼外部環境が悪くなると、たちまち達成しなくなる
▼部下に指導できない
▼成果が出ない人は、いつまでも成果が出ないまま
ということを意味します。
「まぐれ」でも「運頼り」でもなく、成果を出すためには
乾選手は、何度もイメージトレーニングを重ねた上で、いつ何時でもそのとおりに実践できるよう練習を繰り返しました。
だからこそ、凡人では耐えられないほどのプレッシャーがかかるワールドカップの大舞台でも、イメージ通りのゴールを再現することができ、成果を出した。それが「真の実力」として世界に認められたのです。
もちろんこれは、営業組織においても取り入れることができます。
つまり、
お客様がまだ認識していない・案件化していない段階から、営業が「こういったことでお困りではありませんか?」「こんなものをご提案したら喜んでもらえるかもしれない」と、仮説(イメージ)・アイディアを立てる。
それはもしかすると、既存のお客様のみならず、新規のお客様かもしれないし、過去に取引のなかった新たな商材かもしれません。
いずれにせよ、仮説を立てただけではただの妄想。ですから、考えた仮説をぶつけ、それに対するお客様の反応を見て、状態を管理しながら新陳代謝を繰り返していく。
この仮説を、常に豊富に(少なくとも目標予算の2倍)抱えておくことによって、安定的に目標を達成させる状態を担保する。これがまさに「予材管理」の発想です。
乾選手は、“勝利”という大きな目的を達成するために、「こんなふうに相手チームを攻めていこう」「得意な右足を使って、この角度からシュートをしよう」と戦略を練って、トレーニングを積み重ねました。
さて、あなたは“目標達成”という大命題を達成するために、どんな営業戦略を立てますか?