コンサルタントの酒井です。
「予材管理の現場から」というブログですから、今回はいつもよりリアルな話をしようと思います。
あるコンサルティング先での話です。
その会社には、6名のマネジャーがいます。みなさん、本当に真面目なマネジャーばかり。こちらの指導に対して、本当に忠実に従ってくださいます。
たとえば、行動計画に対して、行動実績が下回っていることを電話で指摘すれば、すぐに部下を指導し、翌週には改善させてしまいます。
コンサルティングに入って1年目の今期、残り1ヶ月を切った時点で、過去最高売上・最高益が確実の状態となりました。
毎月マネジャーたちとセッションを繰り返し、試行錯誤を重ねた末に得られた成果と言えます。
しかしながら、目標達成させたマネジャーがいる一方、残念ながら目標未達に終わるマネジャーがいるのも事実です。
ではなぜ、目標達成のマネジャーがいる一方、未達のマネジャーが発生してしまったのでしょうか?
目標未達に終わったマネジャーも、こちらの指導に対し反発することなく、部下に行動をやり切らせることはできています。
では、目標の達成と未達成の差を分けたのは何だったのでしょうか?
目標の達成と未達成を分けた“ 差 ”とは
ここからがリアルな話の始まりです。
私は、この会社の予材管理の運用状況を客観的に見て、「目標達成させたマネジメント」と「目標達成させられなかったマネジメント」との差を掴んでいました。
下記にこの会社のマネジャーたちに送ったメールを貼り付けます。(分かりやすくなるように一部加筆していますが、ほぼそのままです)
目標の達成と未達成を分けた差は、どんなところにあるのか?どうぞご確認ください。
※Aマネジャーは、目標達成まであともう少しで手が届く状態の課を率いているマネジャーです
Aマネジャー
ご報告ありがとうございます。
今期目標達成に最後の最後までこだわり抜き、焦点を合わせているその姿勢は、かならず部下たちに伝わっています。
この今期目標達成へのこだわりは、1課が来期、そして再来期を戦っていくうえにおいては欠かすことのできない財産になります。
なぜなら、マネジメントレベルの最初の0段階が「目標に焦点を合わせる」だからです。
最初の最初なのですから、この0段階のベースのない組織・個人にはどんな手法をこちらからお伝えしたところでまったく無意味です。
そのベースが1課にはあります。だから、欠かすことのできない財産なのです。
「絶対達成」というフレーズがありますが、これは「なにがなんでも目標達成させるんだ!という“執念”」とも言えます。
つまり、「アソシエイト=没頭」している状態です。
Aマネジャーを中心として、1課はまさに目標達成に向けて没頭している状態ではないかと、予材管理クラウドの運用状況から私は捉えています。
今期残りわずかですから、今こそまさに「アソシエイト」して、目標達成へと導いてください。
さて、以下は大事なことなので、全マネジャーに読んでいただきたいです。
予材管理の基本についてです。
予材管理の運用をスタートすると、「ディソシエイト(=客観視)」する習慣が身につき、目標と現状とのギャップや予材状態を客観的に捉えることに長けてきます。
しかしその一方で、ベースとして大事である「なにがなんでも目標達成させるんだという『執念』」、つまり「アソシエイト=没頭」している状態が希薄になってしまう方がいます。
目標達成させるには、「土台(=マインド)としてのアソシエイト」と、「予材管理という手法を用いたディソシエイト」とのバランスが必要です。
つまり、このバランスが崩れてしまうと、目標は未達成になります。
私は、このバランスが崩れたことが目標未達の課を生んだ要因の一つであると捉えています。
では、なぜ、「アソシエイトしている」「ディソシエイトしている」という人間の意識レベルのことを私は分かるというのでしょうか?
これは、実は予材管理を見れば分かります。
貴社の場合、予材管理上に表れている“ある事実”を持って、このバランスが崩れたと断言できます。
その事実とは、「今期でない予材を来期に移す」ということが頻発したという事実です。
期末が残り数ヶ月となった段階で、「この白地は今期無理だ」「この白地は来期に回そう」と今期登録してあった予材の来期移しが大量に発生しました。
これは、予材管理の運用として、半分は正しいと言えます。
予材管理は「仮説」もしくは「事実」によって表すことが基本だからです。
「白地なら仮説」、「仕掛りなら事実」を持ってして、いつ来るのかを客観的に記載する必要があります。
そのタイミングで来ないと分かっている予材を放置しているのは許されません。ですから、時期を移すというのは、正しい運用です。
しかし、正しいのは半分。残り半分は間違いです。
何が間違いかと言うと、「はじめからそのタイミングに受注させるつもりで、予材を書いていない」ということです。
白地であっても、6月に書いたら、6月に受注させるつもりでなければなりません。9月に書いたら、9月に受注させるつもりでなければなりません。
予材管理の予材とは「予定材料」です。つまり、材料は「予め定める」必要があります。
予め定める項目は、「顧客」、「予材名(=商材、サービス名)」、「時期」、「金額」です。
「どの顧客に対して、何を、いつ、いくらで」を予め定めて、そうなるように活動をしていくのが、一つひとつの予材を管理するということです。
このなかでの「時期=いつ」は、重要な項目の一つです。
なぜその時期なのか?を顧客視点で仮説を立て、その時期を期限にして、その期限から逆算して活動することが予材管理の基本です。
「予めその時期に決めるつもりで定めていない」としたら、予材管理の根底が揺らぎます。
はじめからそのつもりがないものを書くのは予材管理とは言えません。
もちろん、そうならないこともあるでしょう。
営業する側の仮説ですから、必ずしもそのとおりにならないことも多々あります。だから、そこは客観的に判断して、時期を移すことも必要です。
つまり、「主観的にその時期に決めるつもり」というアソシエイトと「客観的にその時期に決まるのか」というディソシエイトのバランスが必要というわけです。
今期未達成の課が、未達成となった所以は、
- はじめから今期受注させるつもりでアソシエイトして予材を書いていないから、安易に「来期に予材を移すことを許容する」マネジメントとなっていた
- ディソシエイトした状態で、「今期でない予材を来期に移した」としても、その結果の不足分をアソシエイトした状態で、「新たに今期受注させるつもりの予材を描く」ということが十分でなかった
この2つにあります。
つまり、「アソシエイトが十分でなかった」、「目標達成に執着していなかった」、これが未達成の要因です。
来期に向けて、「目標に焦点を合わせる」からもう一度やり直していくつもりです。
どうぞよろしくお願いいたします。
メールは、以上です。
まとめると、ポイントは、
- 予材管理は、予め「顧客」、「予材名(=商材、サービス名)」、「時期」、「金額」を定めるもの
- その時期に決めるつもりで定めるのが必須
- その時期に決まらないと客観的に判断されるものは、時期を移す、もしくは削除する
- 目標未達成リスクを回避するために、新たに当期中に決めるつもりで(1)を定める
この繰り返しです。
これが予材管理を運用するに当たっての基本であり、営業が目標達成させるための基本と言えるでしょう。
みなさんの目標達成のマネジメントがこの通りになっているかお確かめください。