コンサルタントの桑原です。
先日のある企業に営業戦略の構築でお伺いした際のことです。
その企業は予材管理を徹底し、既存の事業領域では他の追随を許さない圧倒的な成長を実現しています。しかし、マクロ環境の変化から新たな成長戦略の構築が不可避な状況でした。
このような状況においては、多くの企業が競合相手のいないブルーオーシャンを求めた議論に走る傾向にあります。
予材管理は営業現場で発生している事実を集約し、徹底して会社を取り巻く現実と向き合う手法でもあります。
私たちが予材管理をもちいて現場を指導させていただくと、現実感のないフワフワした議論が介在する余地は一切なくなります。
● 既存事業における見込みはどのように推移するのか
● 営業活動を通じて得られた白地がどれくらいあるか
● いつ、いくらで受注する予定で活動しているのか
など、営業活動の事実を反映させた予材管理シートをもとに、未来の目標達成に向けた取り組みを洗い出します。
SWOT分析・TOWS分析で戦略を考える
しかし、シビアに現実と向き合えば向き合うほど、抗しがたいマクロ環境の変化が未来の予材に深刻な影響を及ぼすことが見えてきます。
このような手詰まりの状態でもなお「目標は絶対に達成する」という組織の意志があってはじめて、私はSWOT分析、TOWS分析(クロスSWOT)をはじめとするフレームワークをもちいて組織の発想を広げていきます。
SWOT分析は、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字を取ったものです。自社(自拠点)が置かれている現状を分析して、ビジネスの切り口を得るためにおこないます。
TOWS分析(クロスSWOT分析)とは、SWOT分析結果をもとに積極化(SO戦略)、差別化(ST戦略)、弱点強化(WO戦略)、防衛策(WT戦略)などの戦略を考えるフレームワークです。
生きた営業戦略を導くには?
いずれも戦略を導くための分析手法としてよく知られたもので、皆さんの中でもお試しになられた方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。
お気づきのとおり、営業現場で活きる分析をするためには、教科書的にフレームワークにそって必要項目を埋めるだけでは意味がありません。
営業が目標に焦点を合わせ、組織でPDCAサイクルを回し、その体験を経て得られる要素をもちいて分析してはじめて、活路となる次の営業戦略が見えてきます。
そこで得られた営業戦略すべてが、必ずしもすぐに成功につながるわけではありません。それで良いのです、そこでまた皆で一緒にPDCAサイクルをまわすことが出来るのですから。
市場環境が厳しいときこそ、ブルーオーシャン戦略に注意を
厳しい市場環境であるからこそ、ブルーオーシャン探しをしてはいけません。
仮に、経営陣の力でそのような領域で事業展開することができたとしても、それは組織の力でしょうか、再現性はあるでしょうか。そのブル―オーシャンがレッドオーシャンに変わったとき、生き抜く術を身につけられたでしょうか。
今いる場所が仮にレッドオーシャンだとしても、その中を泳ぎ切れる組織の力、その力をもって生み出される戦略があってはじめて、マクロ環境変化の波を切って進み続けることができるのではないしょうか。