新規立ち上げ部署につき、やるべきことと言えば「新規開拓『のみ』」―。
そんな状況の下、与えられたミッションである新規顧客を獲得するためにおこなったのは、1日6時間のテレアポ。その新規テレアポをひたすらやり続けること、6ヶ月。
門前払いされ続け、結果、半年間で開拓できたお客様は……なんとゼロ。
そんな「ダメダメ新規開拓営業」だった経験を持つのが、私です。
こんにちは、コンサルタントの岩山です。
冒頭のお話しは、何もフィクションではありません。前職時代、私が実際に経験した、まさにノンフィクションの物語です。
平成と同じでは売上・利益を確保できない?!
最近、お客様から新規開拓、とりわけ法人営業の新規開拓のご相談が増えています。一体、なぜでしょうか?
この曲線は、企業のライフサイクルを表しています。この企業のライフサイクルという観点で会社を見ると、皆さまの会社はどこに該当するでしょうか。
当社にご相談いただく企業様の多くが、まさに「成熟期」にあたります。
それもそのはず。
「イケイケドンドン」という言葉で表されるように、モノを作れば売れる・仕入れれば売れるという時代ではなくなってきています。
したがって、「以前と同じ」営業活動を行っても、「以前と同じ」売上・利益を確保できない会社が増えてきているのです。
一方、現場の営業パーソンは、「今」「ここ」にある「自分」に課せられた業務で手一杯。目の前の仕事に追われています。ですから、サボっている人は決していません。
にも関わらず、日々の営業活動がなかなか成果に結び付いていないのです。売上・利益は横ばいの状態が続いている。ここ数年の業績推移を見ていると、どうやら踊り場に出たと言えそうだ……。
こうした事象の発生は、現場の営業パーソンばかりに要因があるわけではありません。
昔とは明らかに、市場環境が変わってきています。だからこそ、各営業パーソンに裁量を任せた個人プレーではなく、チームでの「組織戦」でもって新規開拓に取り組むことがポイントになっています。
わが社に新規開拓は必要?3つのチェックポイント
とは言っても、「新規開拓が本当に必要なのか?」、そう思いますよね。
既存のお客様のフォローの方が営業部も慣れているし、新規開拓は何より効率が悪い。だからできることならやりたくない。そう考える企業様も少なくありません。
ここでは3つのチェックポイントに沿って、あなたの会社にとって新規開拓が本当に必要なのかを一緒に考えてみましょう。特に営業スタイルがBtoB、法人営業の会社はぜひ、チェックしてみてください。
チェックポイント1.既存顧客だけで、売上・利益を確保できるか?
ご存知の通り、人口減少などの要因から国内の多くの市場が縮小傾向にあることが目に見えています。
加えて、競合他社との価格競争や新規参入も増えています。そうした背景の中、既存のお客様との取引だけで売上や利益は確保できるでしょうか?
チェックポイント2.特定の顧客に依存していないか?
皆さまの会社では、特定のお客様や大型案件に売上を依存していませんか?
これまで問題なく発注をいただいていたとしても、万一、そのお客様が業績不振に陥ったら……真正面から影響を受けてしまいます。
チェックポイント3.会社の将来図を描いているか?
今月、今期といった短期的なスパンではなく、5年後、10年後……という時間軸で考えたとき、自社の先行きは安泰でしょうか?
既存のお客様「のみ」でもこの先、目標達成し続けられるのであればいいのですが、そんな会社は限られています。
そこで、未来に向けた対策として、今の取引先以外の新たな顧客基盤づくりを進める。そんな時期に差し掛かっているのかもしれません。
それはある程度、余力のある今だからこそ、リソース配分できるのです。
とは言っても、新規開拓のハードルが高い……
「新規開拓はマイナスのイメージが尽きない……」
実際に新規開拓に取り組まれている会社でも、日々、営業現場で発生する問題は尽きません。
- 一部のできる営業しか結果が出ない
- どこに新規開拓できるお客様がいるか分からない
- 既存のお客様に比べて、新規開拓の効率が悪い
- すぐに新規開拓用のリストがなくなる
- 飛び込み営業の成功率が低い
- テレアポが繋がらない
- 新規開拓のノウハウの共有ができない
- 心理的に辛い
- 既存顧客以上に営業パーソンのスキルにかかっている……など
新規開拓のストレスをゼロにする、予材管理とは
このような新規開拓の悩みを解消するために活用できるのが「予材管理」です。
皆さんの会社でも、案件管理や実績管理といった営業管理は行っているかもしれません。一方、予材管理はそうした案件管理とは発想が全く異なる、新しい営業管理の手法です。
なぜなら、「今、目の前にない」営業の材料を「あるもの」として扱うからです。
例えば、上司が部下に対し、A社への新規開拓を指示したとします。そして部下が何とかA社の担当者にアポイントを取ることができました。しかし帰ってくるなり
「言われた通りA社を訪問しましたが……必要ないと言われました」
と報告してきたら……上司はどのように受け取るでしょうか。
事前に「A社であれば、これくらいの規模のネタは転がっているはず」と、予測した上で上司は指示をしているはずです。そのため、今ではないにしろ将来的に案件化する可能性は十分にあります。
上司にはそれが見えています。しかし、部下の視点からは「見えていない」こともあるかもしれません。なぜなら、「今、目の前で発生していない」からです。
新規開拓には「今、目の前にない」ものを認識する力が大切
バンバン飛び込み営業を行い、どんどん新規電話をかけ続ける……そんな方法も確かにあります。ですが、BtoCをメインにした自動車や不動産、生保のセールスであればいざ知らず、元号が令和に入った今、そのやり方を法人営業がそのまま真似るだけでは限界があります。
新時代の新規開拓は、「今、目の前にない」ものを「あるもの」として認識する「思考」が必要です。
ですが、考えただけではお金にはなりません。考えたアイデアを実際の「行動」に移さなければ、成果にはつながらないからです。
ここで挙げた「思考」と「行動」のトレーニングをサポートするツールが予材管理です。ぜひ、あなたの営業組織・チームでも取り入れてみてくださいね。