採用コンサルタントの酒井です。
みなさまのおかげで、デビュー作『いい人財が集まる会社の採用の思考法』が絶好調です。
「採用活動を変えるきっかけとなった」「さらに新しいことにチャレンジし、業績を伸ばし続けるために採用の考え方を根本から考え直した」などなど、さまざまなご感想をいただいています。
今回は、まだ本書を手に取っていない方に、本屋さんで「立ち読み」する感覚で、本書をお読みいただけるよう、本書の最初の部分、「はじめに」16ページ分を完全公開します。
勘のいい方は、時間をかけずに、すぐにヒントを得ていただけるように、「はじめに」はもっとも時間をかけて何度も何度も推敲を重ねながら、執筆しました。
それでは、ご覧ください。
はじめに――あの会社はどうして優秀な人財を採用できるのか?
世の中には、2種類の会社があります。
それは、採用がうまくいっている会社と採用がうまくいっていない会社です。
採用がうまくいっている会社は、新しいことにチャレンジできるので、業績を伸ばし続けています。
一方で、採用がうまくいっていない会社は、新しいことにチャレンジできず、現状維持が精一杯となり、外部環境の急激な変化に対応できずにいます。
もしあなたの会社が前者なら、本書を閉じて、さらに業績を伸ばすための別の書籍を読み、ぜひそれを実践してください。
ただ、もしあなたの会社が次のような状態だったら、ぜひ本書をひきつづきお読みください。
◎求人情報サイトに掲載してもエントリーが少ない。
◎企業展にブースを出しても、席が埋まらない。
◎レベルの高い人のエントリーが最近減ってきている。
◎面接に来るはずだった応募者に、連絡もなくブッチされる。
◎内定通知を出しても、辞退されてしまう。
◎採用しても、こちらが期待するパフォーマンスを上げてくれず、お荷物になっている。
これらのうち1つでも当てはまるなら、あなたの会社は採用がうまくいっていない可能性があります。
結果にこだわるコンサルタント
私は企業の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタントです。
所属する株式会社アタックス・セールス・アソシエイツは、「世界一の営業支援の会社を目指す」という理念を掲げ、クライアント企業の目標を絶対達成させるために、営業コンサルティング事業を展開しています。
世の中には数多のコンサルティング会社、研修会社がありますが、他社との決定的な違いは、私たちが何よりも「結果」にこだわっているということです。目標を絶対達成させる営業コンサルティング会社と名乗っている以上、何より「結果を出す」ことをゴール(目的)に支援を行なっています。
ですから、現場指導は社員個人の能力やスキルを向上させるだけに留まりません。
個人のみならず、外部環境の変化に左右されず、安定的に結果を出し続ける、そんな強い組織をつくり上げることこそを私たちはミッションとしています。
代表取締役社長の横山信弘は、『絶対達成する部下の育て方』 (ダイヤモンド社)、『空気で人を動かす』(フォレスト出版)、『最強の経営を実現する「予材管理」のすべて』(日本実業出版社)などの著書でも有名なコンサルタントですし、「壁マネジメント」と呼ばれる独自のマネジメント手法を世に送り出し、ベストセラー『結果を出すリーダーほど動かない』(フォレスト出版)など3冊の著書を出す山北陽平も当社のコンサルタントです。
他にも非常に個性的なタレントが在籍しており、その全員が目標を絶対達成させるためにコンサルティングをしています。
そんなタレント集団に在籍する私も、年間150回以上の研修、セミナー、コンサルティング支援に従事し、これまでに営業に関わる人だけでも累計2,500人以上のビジネスパーソンに対して、現場指導や研修を行なってきました。
私の仕事は、「結果を出す」ことです。
中堅中小企業であれば社長から、一部上場企業であれば事業責任者から、「自分たちでは限界があるから、なんとかぜひお願いします」と言われ、コンサルティングに入ります。
そして、実際に結果を出してきました。支援1年目から過去最高利益を達成したり、支援開始から2年連続で前年売上額115%アップ実現したりと、目標達成はあたりまえで、それを上回る結果を出すことも珍しくありません。
結果が出せない原因を探って見えてきたもの
しかしながら、すべてのコンサルティング先ですぐに結果を出してきたかというと、決してそうではありません。結果を出せないまま、共に試行錯誤を繰り返し続けるクライアントが存在します。
結果を出せないのはなぜなのか、絶対達成コンサルタントである私は、24時間365日考え続けます。
◎部下たちの基礎力が不足しているから、別に研修をおこなって鍛えよう。
◎マネジャーが部下たちに正しく指導できていないから、マネジメントルールを整えよう。
◎改めて外部環境分析を行ない、社長と営業戦略を策定しよう。
現場指導は、いつもこのように試行錯誤の繰り返しです。100%正しいプランは存在しません。プランを実行したら、確実に結果が得られるというプランは世の中にないのです。ですから、コンサルタント自身が現場の人たちと一緒になってPDCAサイクルを回していくのです。
多くのクライアントが正しくPDCAサイクルを回すことで結果を出していくなか、結果が出ない会社がありました。やっていることは間違いありません。それでも結果が出ないのです。
従業員数250人の専門商社―
ある日の現場でのミーティング終了後、この会社のあるマネジャーが私を別室に呼んで、矢継ぎ早にこう言ってきました。
「うちのメンバーたちは、はじめから目標を達成する気があるとは思えません」
「酒井さんの言う通り、マネジメントしていますが、言ったことを本当にやりません」
「こちらからどうなっているのかと聞かない限り、報告も連絡も相談もしてきません」
「管理システムへの予材状態の入力すらもやったりやらなかったりです」
「うちの人事に言ってやりたいですよ。何やっているんだよって。即戦力をちゃんと採用しろよって」
このような発言をするマネジャーに対して、いつもは「自責と捉えなければだめだ」と一喝する私も、このときばかりはその言葉が出てきませんでした。
「原石を磨けば、いつかダイヤモンドになる」
どこかで私はそう思っていました。
新入社員からマネジャー、経営幹部まで3,000人近いビジネスパーソンの指導に携わってきましたが、「育成により人は変えられる」と信じて、これまでやってきました。
しかし、同時にいくら鍛えても結果を出せない人材がいる事実にも何度か直面してきました。
そして、このとき悟ったのです。
どんなに磨いても、石ころは石ころだ。ダイヤモンドにはならない。
すぐに私は、社長に電話をしてこう言いました。
「人財採用をもっとちゃんとやらなきゃ駄目です」と。
人が、組織風土も売上もつくる
それから私は前職時代に知得していた採用ノウハウを、当社の絶対達成コンサルティングと融合させ、この会社で徹底的に実践しました。
その結果、この会社はどうなったか。
売上は1.7倍になりました。業績を上げた要因は、社内の空気の変化です。
1~2人しか入社がなかった大卒人財が、今では毎年安定的に10人採用できるようになり、
その過程で組織風土が劇的に改善され、30%を超えていた離職率が1%以下となりました(3年間で離職した人数はたった2人のみ)。
今では社員たちはお互いを支え合い、全員でどんなに高い組織目標でも達成しようという活気に満ちあふれています。
この経験を通じて、私は実感しました。それは以下のようなことです。
◎経営目標を達成させるには、採用が本当に大事。
◎育成には限界がある。
◎素材の目利き力こそが経営力。
◎採用を間違えたら、「爆弾」を背負うようなもの。
◎採用ミスによる組織へのダメージは計り知れない。
◎付加価値を生み出す「いい人財」を採用しないと意味がない。
それからというもの、私は営業コンサルティングの傍ら、採用コンサルティング事業を開始し、クライアント企業の単年目標を絶対達成させるのはもちろん、外部環境の変化に左右されず、安定的に結果を出し続ける強い組織をつくり上げるご支援を日々行なっています。
採用がうまくいっていない会社の共通点
採用がうまくいっていない会社には、ある共通点があります。
それは、「採用活動を一所懸命にやっていない」ということ。
「ふざけんじゃない!やっているよ!」と、もし気分を害されたとしたら、申し訳ありません。
ただ、私がこれまで膨大な数の会社を見てきて、採用がうまくいっている会社に共通しているのは、まさに「一所懸命やっている」ということなのです。
「一所懸命」という言葉は、鎌倉時代の頃の武士たちが先祖代々伝わっている土地など(所領)を命懸けで守ったことに由来しています。
まさに「命懸け」で採用に取り組む。
人はこれを実践している会社に惹かれ、事実、優秀な人財ほど、そういった会社に集まっているのです。
採用市場における、偽らざる事実
ここで、ズバリお伝えしたいことがあります。
採用は、競争であり、勝ち負けである―。
これは隠したくても隠せない、明白な事実です。
大手求人会社が公表しているデータがあります、
(出典:リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査」)
同調査の「2019年卒」の調査結果を見てみます。
◆全国の民間企業の求人総数が前年の75.5万人から81.4万人へと5.8万人増加している。
◆学生の民間企業就職希望者数は、前年42.3万人とほぼ同水準の43.2万人である。
◆つまり、求人に対して、38.1万人の人財が不足している。
◆特に、300人未満企業(中小企業)の大卒求人倍率は9.91倍となっている。
(前年の6.45倍から+3.46ポイント上昇で過去最高)
このデータから読み取れることは、採用とは「限られたパイの奪い合いだ」ということです。
営業の世界で「他社の売上が上がったら、自社の売上は下がるのか?」というと、そんなことはありません。
しかし、他社が採用する人を増やしたら、自社が採用する人は減ります。
営業は競争ではありません。しかし、採用は競争なのです――。
そして、この競争に勝つか負けるかは、「一所懸命やっているか」「片手間でやっているか」の差なのです。
本書では、付加価値を生み出す人材を採用し、成長し続けている会社に共通する「採用」に対する考え方、ノウハウ、実践法を完全公開します。
事例を豊富に盛り込んで解説しますので、採用がうまくいっている会社が、いかにして採用活動に取り組み、仕組みとして人財を集めているのかを知ることができます。
また、自社で実際に応用できるよう、ノウハウを体系化して紹介しています。
「入れてから育てる」の限界
人事労務分野の情報機関が2018年9月にまとめた実態調査が興味深い事実を示しています。
(出典:産労総合研究所 「2018年度教育研修費用の実態調査」)
企業の教育研修費用予算額が増加し続けています。
◆企業の教育研修費用予算総額は、2016年度6,014万円、2017年度7,703万円、2018年度8,017万円と、3年連続で増加。
◆従業員1人当たりの教育研修費用予算額も、2016年度43,805円、2017年度45,917円、2018年度47,138円と増加傾向にある。
この数字から、人手不足が深刻化するなか、人財を外部に求めるのではなく、社内の人財をいかにして育てるかに企業が取り組んでいることが見て取れます。
私もその恩恵を受けて、ありがたいことに数年先までスケジュールが埋まっている状況です。
しかし、あえて言いたいのです。
間違えた人を採用したら、どんなに教育してもムリなものはムリ―。
どんなに腕の良い料理人であっても、素材が悪ければ、何ともなりません。味を良くするにも限界があります。
変化の激しい今こそ、いい素材の仕入れ方法を改めて知っておくべきなのです。
採用の考え方、やり方が劇的に変わる
あなたが本書を手に取っているということは、採用のやり方を改善しなければならないと真剣に考えておられる証でしょう。
本書では、採用のやり方を改善するために必要な重要なエッセンスを凝縮してお伝えしていきます。
歳1章「採用をなめてはいけない」では、採用がうまくいっていない会社が陥りがちな採用に関する大きな勘違いを指摘しつつ、採用が会社にとってどれだけ大切なのかをロジカルにお伝えしていきます。
第2章では、いい採用ができない会社に共通する5つの理由を事例を交えながら詳しく解説していきます。
第3章では、いい採用を実現するために絶対必要な3つのエッセンス「誰を採用するか」「誰が採用するか」「どう採用するか」について、具体的な方法を提示していきます。
第4章では、いい採用を実現するためのステップを大きく7つに分けて、わかりやすく解説します。
なお、本書では、あえて「人材」ではなく、「人財」と表記しています。
少し違和感を持たれるかもしれませんが、企業にとって社員とは、財産のように貴重な存在であるという意味を込めて、あえて「人財」と表記することにします。
自社にとって、本当の意味で「財産となる人」はどのような人なのか?
どのような人であれば、活かすことができるのだろうか。
どのような人だと活かすことができないのだろうか。
人は生きている以上、価値のある存在です。
自社でその価値を最大化できるか否か、企業側というのはもっと真剣に考えねばなりません。他社に行けば輝いた人を自社が採用してしまったがために、その価値を無為にしてしまう場合だってあるのです。
本書が、御社の採用活動を変えるきっかけとなり、新しいことにチャレンジし、業績を伸ばし続けるためにお役に立てるなら、著者としてこんなにうれしいことはありません。
『いい人財が集まる会社の採用の思考法』