コンサルタントの山北です。
みなさんは「強い営業部」と聞いてどのような営業部を思い浮かべますか。
強い営業部=営業ひとりひとりが考え、数字を安定的に作れる組織と定義すると、長年、多くの営業を見てきた経験から、ひとつの法則に気づきました。
そして最近それは確信に近づきつつあります。
強い営業部の共通点
その法則とはは何かというと、強い営業部においてはマネジャーが再現性のある部下指導をしているという点です。
このブログを読まれた多くの人が「それなら自分も部下指導をしている」と思ったのではないでしょうか。
そう、多くの方は部下指導をしています。しかしこと営業現場においては、その部下指導がご自身の経験に基づいた感覚的な指導になっているケースがほとんどなのです。
なぜ再現性のある部下指導が必要なのか?
ではなぜ、再現性のある部下指導が必要なのでしょうか。
それは成果(=売上)への再現性を高めるため、営業担当者が個人のスキルによらず一定レベル以上の営業活動ができる必要があるからです。
その指導方法が属人的、つまり個人の経験と感覚に基づいた指導では、教える内容も属人的になってしまい、マネジャーの育成スキルによって部下の営業レベルが大きく左右されてしまいます。
この重要性をわかっている強い営業部では、指導方法の方法をマネジャー昇格の際の条件にし、できなければマネジャーにはなれず、昇格後もマネジャーに対して定期的な指導をルール化して徹底しています。
このようにルール化され、仕組みとして定着すると、再現性のある部下指導を一定クラスのマネジャー以上が全員できるようになるので、成果の再現性も高くなります。
再現性のある部下指導を行う6つのポイント
では、再現性のある部下指導の方法について、そのやり方のポイントをご紹介します。
ポイントは以下の6つです。
1.マネジャーと部下で定期的な個人面談を実施
2.目標の確認、現状の確認、不足分の確認は3点セットで
3.案件を前に進める次回のアクションを設定
4.不足分を埋めるためのアクションを設定
5.前回分のアクションの振り返りと改善
6.定期的な同行・ロープレによる商談スキルチェック
ここから6つのポイントについて、詳細を解説します。
1.マネジャーと部下で定期的な個人面談を実施
部下指導について、私が一番おすすめするのは個人面談です。
会議で個人ごとの課題に関する指導を時間内にすべて行うことはできません。
個別の課題に対してはやはり個人面談で、部下一人一人の状況に合わせた指導が必要になります。
頻度は1週間から1か月に1回程度ですが、必ず定期的に行うことをルール化して実施します。
2.目標の確認、現状の確認、不足分の確認は3点セットで
営業担当社はどうしても、目の前の案件や、クレーム対応など、目の前の緊急性の高い仕事の対応に追われてしまいがちです。
そのような場合、本来の目的・目標を見失いやすくなります。
そのため、部下とともに、自分が目標に対して今どの位置にいるのかを振り返ります。定期的に必ず振り返ることで、部下は自分がやらなければならないことに焦点を合わせることができます。
3.案件を前に進める次回のアクションを設定
多くの場合、営業担当者は複数の案件を同時に進めています。
お客様都合で案件が進まないことや、部下自身の判断でGOを出せず上からの判断を仰ぐことも少なくありません。
そのような時に限って、競合他社に入り込まれたり、お客様のベストタイミングを逃してしまうことあります。
マネジャーの視点からいつ何をするべきかを見て、指導することは部下の営業スキルを高める上でも重要です。
定期的な面談の際には、案件の推進を進めるための次回アクションについて、マネジャーが関与して、機会損失を防ぐ必要があります。
4.不足分を埋めるためのアクションを設定
営業の仕事は、目標予算を達成することです。
繰り返しになりますが、今、目の前にある仕事に意識が集中している営業は、目標不足分を埋めるための、アクションを後回しにしてしまいがちです。
時間が経過すればするほど、年度の不足分を他で賄うことがどんどん難しくなり、商談のリードタイムの長い商材を扱う企業であれば、一年を待たずして数値目標達成を逃してしまいます。
だからこそ、マネジャーが常に不足分を意識させ、足りない分を埋めるための行動をさせる指導が必要です。
この指導を受け続ける営業は、次第に自ら不足分を埋めるための活動を普段から行えるようになります。
5.前回分のアクションの振り返りと改善
この点も目の前の仕事に意識をとられれていると、後回しにしがちな項目です。
前回設定した案件や不足分のアクションがうまくいった/いかなかった理由がなぜなのかを振り返り、改善を進めなければ、部下はスキルアップしません。
自分ではなかなか意識して振り返りができない部下に代わって、行動の評価と改善をマネジャーが指導することは、部下のスキルを高める上で重要になります。
6.定期的な同行・ロープレによる商談スキルチェック
どれだけ定期面談を行ったとしても、商談の現場では一人で商談することがほとんどです。
実際に現場で部下がどのように話をしているか・ヒアリングできているのか・顧客のニーズに正しく答えているかなどの商談スキルを定期的にチェックし指導をすることも重要です。
実際、私が支援先の営業担当者に営業同行すると、コンサルティング指導した内容と全く違ったアクションをとっていることが発覚するケースがあります。
その事実を知るためには、現場での確認や、ロープレによる、商談スキルのチェックが必要です。
以上、6つのことを部下に対する指導のルールとして運用することで、部下の営業スキルアップが進むだけではなく、現場レベルで一人一人が考え数字をつくれる状態を生み出すことができます。
また、このような指導を受けてきた部下がマネジャーになった時も、同じ指導をするようになります。
「プレイングマネジャーだから、ここまでのことは到底できません」
というマネジャーがいるかもしれませんが、プレイングマネジャーであったとしても、チームの目標責任を持つマネジャーならば、組織メンバーの目標達成のために部下指導する時間を確保するのは当然です。
プレイヤーの時と変わらず、自分の数字のみを追いかけチームの結果に責任持たないのであれば、どれだけ自分の目標が達成してもマネジャーとしての評価はありません。
時間はかかっても、部下が成長しなければ、組織の目標を安定的に達成することはできないからです。
自分がマネジャーの方は、是非6つのポイント取り入れて、部下指導をスタートしていただきたいです。
そして更に上の立場の方は、営業マネジャーが部下に再現性をもってを指導するための仕組みを整えていただきたいものです。