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プレイングマネジャーから抜け落ちやすい3つの「自分事」


コンサルタントの山北です。

皆さまの会社の中間管理職に「プレイングマネジャー」ではない方はどのくらいいらっしゃいますか。

2018年に産業能率大学行った「第4回上場企業の課長に関する実態調査」によると、99.2%の課長がプレイヤーとマネジャーを兼務する「プレイングマネジャー」であると答えたそうです。

とりわけ営業においては、多くの中間管理職がプレイングマネジャーとして、自ら大きな数値目標を持ちながら、組織の管理責任者としての役割を担っています。

私がご支援している企業様においても、営業組織の中間管理職はほぼ全員、プレイングマネジャーとして活動しています。

プレイングマネジャーがボトルネックになっている?!

そのような中、経営者の方から、よくこのようなご相談をいただきます。

・営業マネジャーの成績次第で、組織の目標達成度合いが大きくブレる
・組織内の労働環境改善が進まない
・部・課単位での業績悪化に歯止めがかからない

このような問題が発生するひとつの要因として、マネジャーが「プレイヤー」としての意識が依然強く、「マネジャー」としての意識を持ち合わせていないことが挙げられます。

多くの営業マネジャーは、営業プレイヤーとして優秀な成績を出してきた結果、その功績を認められて、マネジャーになっています。

プレイヤー時代に、個人目標を達成することで評価されてきた今までの価値観が変わらなければ、営業組織の責任者としての組織の目標を達成し、運営しつづけていく役割を果たすことはできません。

ミドルマネジャーは組織の責任者として、組織の問題を自分事として考える価値観に変化しているかがカギになります。

プレイングマネジャーから抜け落ちやすい「自分事」

特に次の3つの項目は、プレイングマネジャーが自分事として抜け落ちやすい項目になります。

1.部下を育てるのは自分の仕事
2.組織の環境を整備するのは自分の仕事
3.未来を考えて組織を変化させるのは自分の仕事

1.部下を育てるのは自分の仕事

部下を育てるのは自分の仕事という意識がない営業マネジャーは、自分の数値へのこだわりが強く、部下ともに組織の数値目標を達成するという考えがありません。

営業の数字は自分の力で作るものだという自分の過去の体験をそのまま引き引き継いでいます。

そのため部下を教育して、部下に成果を出させるという考えを持っていません。

自分の成績次第で組織目標が何とかなる場合はよいのですが、当然予算が上がっていけば、自分の売り上げだけでコントロールできなくなります。

その結果、自分の負担ばかり増え、部下は数値が出せない。いつも一人だけ忙しく、新しい取り組みを全く進めることができなくなります。

部下を育てるのは自分の仕事であるという意識を持ったマネジャーは、未来を見据えています。いずれ自分以外の組織のメンバーで目標達成できるよう、部下自身が数字を作れるよう育成します。

部下が自立して成果が出せるようになれば、余裕をもって自分のリソースを新しいミッションに割くことができます。
→ 強い営業部を作るためのマネジャー教育とは?

2.組織の環境を整備するのは自分の仕事

組織の環境を整備するのは自分の仕事だと考えないマネジャーは、これまで自分がやってきた働き方や仕事の進め方を重視する傾向にあります。

管理セクションから残業削減や業務効率化に取り組むよう言われても、「現場のことを知らない人たちは……」と前に進めようとしません。

自分の組織のメンバーの仕事や環境整備は、本来、組織のマネジャーが確認し、必要に応じて、社内の別セクションを交えたり、自分の組織に合わせた効率化の取り組みなどを進めなければなりません。

3.未来を考えて組織を変化させるのは自分の仕事

とりわけ営業組織においては「目の前の売上を作ること」に焦点が合いやすく、直近の案件しか見えなくなるケースが少なくありません。

そのため短期思考になりやすく、1年後、3年後、5年後の営業組織を考えて、今のうちから組織をつくっていく視点が欠けやすい傾向にあります。

業績が安定しているときは良いのですが、業績が下降傾向にあったとしても目の前のものしか見えておらず、その変化に気づき辛かったり、普段から未来を状態を予想して対策する習慣がないため、下り坂を転がるしかなくなります。

私の持論ではありますが、課長は3年、部長は5年、経営者は10年先を予想して商売の状態を見据えて戦略を考え、組織体制を構築していかなければなりません。

日頃から未来の状態を予測し必要な組織のあるべき姿にを導くのは、自分だという価値観が無ければ、組織のメンバーを不幸に導いてしまいます。状態が悪くなってから対策を考えていては、遅いのです。

御社のプレイングマネジャーは「自分事」になっていますか?

3つの問題については、いずれもプレイングマネジャーが自分事として組織運営に関わっておらず、組織が変化しないのは自分の責任だと感じていません。

皆さんの会社にもマネジャーなのに、プレイヤーと同じ感覚で組織運営を自分事として
とらえられていない方はいないでしょうか。

そのような状態が恒常化してしまうと、そのマネジャーの姿は次世代のマネジャー達にも引き継がれていきます。

ぜひ、この機会に御社のマネジャーがこの3点を自分事として捉えているか確認してみてくださいね。