コンサルタントの桑原です。
「長年、売上を支えていただいてきた既存のお客様、商流の売上が落ち込んできた」
「落ち込むまではいかないものの、どうも先行きが怪しくなってきた」
私に持ち掛けられるご相談の多くがこのような既存売上の落ち込み、あるいはその兆候に対していかに対処すべきか、というものです。
特に今年(2019年)の春以降、製造業など基幹産業に関連するお客様からのご相談が後を絶ちません。
米中の貿易戦争、それに伴う株価の乱高下。欧州の景気減速が鮮明となり、国内では構造的な問題に加え消費増税。と、マクロのリスクをあげればキリがありません。
しかし、営業組織を率いるリーダーがこれらを論じ、自社では対処できない領域に問題の箇所を設定していては、埒が明きません。
既存の売上の落ち込みにどう対処すべきか
「既存売上の落ち込み」という事実に立ち向かい、今期そして来期、再来期と目標を達成させるためにどのようなことをすべきなのか。
もちろん、問題の箇所は企業ごとに異なりますが、予材管理の視点で今すぐすべきことをお伝えいたします。
顧客別・商材別の過去推移など、業績を管理する上で必要な定量データについては割愛します。
この段階で「何が必要なのか…?」という場合は、予材管理以前の問題ですので別途ご相談くださいね。
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さて、改めて予材管理の視点で、今すぐすべきことをご紹介します。
1.既存顧客との「つながり」の洗い出し
既存の売上が落ち込んでいるにも関わらず、手をこまねいている企業の多くが、既存顧客との取引の中でどのような登場人物がいて、自社の誰がどのような役割で接触しているのかを整理できていません。
これまで引き合いが来ていた企業ほど、発生的な営業活動で売上を作れていたため、この視点に欠けている傾向にあります。
既存顧客の誰と自社の誰が関わり、どのようなことを成しているのか(あるいはないのか)を掴めなければ、落ち込んでいる問題の箇所を正しく捉えることはできませんので、ますはこの登場人物と役割を洗い出します。
2.既存顧客がなぜ採用しているのか「選定理由」の洗い出し
既存顧客と自社の人的関わりの全体像が見えたら、既存顧客がなぜ自社をお選びいただいているのか「選定理由」を洗い出します。
先方の決裁者と実務担当者では、それぞれ理由が異なるかもしれませんし、実は確たる理由などなく惰性で、なんてことも見えてくるかもしれません。
この2点と前述の定量データと突き合わせると、どうでしょうか。
定量データの動きだけでは見えなかった売上が落ち込んでいる原因が見えてきたのではないでしょうか。
マクロ環境や表面的な定量データの変遷だけを見て、真因を追求することなく安易に景気や業界動向、当社商材や価格に原因があるかのように決める営業組織は、目標達成するという役割に対して誠実といえるでしょうか。
予材管理は顧客と当社の関係、状態を組織で考えるためのフレームワークでもあります。
市場環境が混迷する今だからこそ、まずは足元を目を凝らして見極めることをお勧めします。