コンサルタントの岩山です。
つい先日、ある商社の経営者とお話していた時のこと。
「入社して半年、新卒で営業部に配属した社員がなかなか育たない」
このようなお悩みを打ち明けてくださりました。
よくよくお話を伺うと、その企業では今年、数年ぶりに新卒の営業社員を採用したそうです。
ご存じの通りこの人手不足のご時世ですから、入社に至るまでには相当のコストをかけて採用され、さらに入社した以上はポテンシャルを発揮してほしいと新入社員に対するフォローを手厚く実施していらっしゃいました。
例えば、
・入社直後に行う新入社員研修の内容を刷新
・会社に対する理解を深めてもらうために、研修期間を2週間から3か月に延長
など。
このような取り組みの後、新入社員の適性と各部門の上司・先輩社員の性格を加味した上で営業部に配属したのです。
……それから3か月経った今、営業部長は「新入社員がなかなか育たない」と頭を抱えており、その声は経営者が「どうにかしなければ」と思うくらいに深刻なものになっていたのです。
営業マネジャーの悩みのトップは…
ここでご紹介したいのが、今年の春に実施した「日本の営業実態調査」の結果です。
1,900名を超える営業マネジャー・管理職に対し、チームや部下に対して感じている問題について調査を行いました。
その結果、
1位 部下が自分で考えない・思考が浅い…26.6%
2位 部下の成長が遅い…23.6%
3位 部下のモチベーション・意欲が低い…21.5%
(複数回答可)
が回答のトップ3。部下に関することが上位を占めていたのです。
「思うように部下が育たない」
「新入社員とは言え、もう少し自分で考えてほしい」
「何度言えば、できるようになるのだろうか」
そんな思いを抱く営業マネジャーは少なくありません。
一方、経営者からよくお話を伺う私は、これらの声に疑問を覚えることがあります。
なぜなら、入社時点では「期待できる新入社員を採用できた」と、社長は晴れやかなお顔をされていたからです。
にも関わらず、営業部に配属した後、新入社員が伸び悩んでいるのであれば、問題が発生しているのは「配属後の現場」。ここにおいてエラーが発生していると仮設を立てられるのではないでしょうか。
マネジャーの4割は、「場当たり的」な指導をしていた!?
営業現場における新人育成で発生しやすい問題は、OJTという名の放置です。
特に弊社がご支援させていただく機会が多い中堅・中小企業様の場合、管理職のほぼ全員がプレイングマネジャー。ですから、ご自身も営業目標をもっており、数字を追いかけていらっしゃいます。
そんな中、新入社員が自分のチームに配属される―毎年、コンスタントに配属されるチームであれば、その育成ノウハウもある程度蓄積されているのですが、数年に1度となると十分な教育がしきれないケースがあります。
前述の「日本の営業実態調査」では、営業マネじやーに対し、部下(営業)の教育方法についても調査しました。
その結果を見ると、
1位 営業同行…57.3%
2位 面談…51.7%
3位 OJTの実施…38.4%
(複数回答可)
となっています。
また部下と1対1の面談の頻度については「不定期」「月に1回以下」を選択した営業マネジャーが4割近くにのぼりました。
部下(営業)の教育方法として半数以上のマネジャーが面談と言っているにも関わらず、面談の頻度は月1回以下もしくは不定期。ここから新入社員に対する教育・指導が体系的になされておらず、「気づいたときにその場で」「発生的に」なっているケースが多いことが推察できます。
2つの切り口で新人営業の育成を見直そう
新入社員の育成を現場に一任すると、新入社員が育つ/育たないが配属先のマネジャーやOJT担当者次第になりかねません。
いい人に当たれば伸びるし、ネガティブなマネジャーだと伸び悩む。それどころか感化されてしまい、全体研修で高い志を持っていた新入社員があらぬ色に染まる―それではまるで博打です。
「あの事業所は人が足りない。新人でもいいからとりあえず配属しよう」
その判断をしたくなる気持ちは理解できます。人手不足が叫ばれる時代ですから。
ですので、もしそのような配属をするのであれば、(1)体系立てた育成計画を現場で実行し、(2)実行状況を第三者がチェックする2つのアプローチを組み入れてください。自社でそれが難しいのであれば、研修会社などの外部機関を使うのもおすすめです。
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新人営業の成長スピードを上げるには、「場当たり的な教育」ではなく体系的な教育を計画的に行うことが重要であることをぜひ、押さえてくださいね。