「トップセールスは2パターン存在する。
1つが【本物】のトップセールスで、もう1つが【偽物】のトップセールスだ」
コンサルタントの岩山です。
冒頭の言葉は、入社して早々、私が上司から教わったことです。
それを聞いた当時の私は、正直な所あまりピンときませんでした。
ですが、そこから現場経験を踏むうちに『本物のトップセールス』と『偽物のトップセールス』がどう違うのか?が分かるようになってきました。
今回は、本記事に興味を持ってくださった感度の高い皆さんに、現場での事例を交えその2つの違いをご紹介したいと思います。
売上がお客様に左右される……
BtoBで自動車に関連するビジネスを展開するR社様のお話です。
R社様ではかねてより、市場環境の変化に売上が左右されやすいことに苦心されていました。
追い風が吹き、目標を大幅に達成した年もあったのですが、ひとたび向かい風が吹くとたちまち未達成……という状況に陥っていました。
このままでは会社を安定的に成長させることはできない。外部環境が変化しても、目標を達成できる強い組織にしたい。そんな想いから当社にご相談くださりました。
現状を把握すべく、全営業担当者に対して1日ずつ営業同行をさせていただきました。
そこで見えてきたこと、それは1人のトップセールスの口癖でした。
私が出会った本物のトップセールス
そのトップセールスは中途入社3年目。事前にR社の営業部長様からお伺いした話では、「他のメンバーに比べ、突出した経験や商品知識があるわけでもない。なのに不思議なくらい目標を下回ることがない」とのことでした。
顧客訪問中の様子を見ても、「いかにもトップセールス!」という話し方や立ち振る舞いでもない。
お客様に対し、目を見張るような高いホスピタリティーを持ってるとも言い難い。
どちらか言うと、クールにお客様と接するようなタイプの方でした。
ですが、1日の営業同行が終わることには「なぜこの方がトップセールスなのか」、その理由がはっきりとしました。
「この案件が飛ぶ(=失注する)かもしれない」
そう口にした回数は、たった1日で5回以上。何度も淡々と口にしていたのです。
失注リスクを考えていますか?
その後、私はR社様以外でも様々な業界の企業様で営業同行を行いました。また年間約1,000名のビジネスパーソンからお話を伺う機会があります。
すると、【本物】のトップセールスと言われる方々には、ある共通点があることがわかりました。
それは「失注のリスク」を常に想定しているということ。
・もしかすると来期にずれ込むかもしれない
・窓口担当者の反応は良かったが、社内で反対を受けるかもしれない
・受注時に見積金額より下がるかもしれない
・お客様の業界傾向から、受注量が減っていくだろう
こうした失注や下振れのリスクに対し、【本物】のトップセールスはリスクヘッジした営業活動を実施しています。
これこそが【偽物】のトップセールスとの違いです。
追い風で稼ぐ!は偽物
確かに、数字の上では、営業成績上位者であるトップセールスは各社に存在します。
「売上額の大きいお客様を担当している」「エリアに恵まれている」「たまたま大きな特需があったために、大幅に達成した」など、自身の努力ではなく、外的環境が要因で「数字が積み上がってしまい」営業成績が上がるケースも散見されるのです。
それはトップセールスでも、『偽物のトップセールス』と言えます。
なぜなら、お客様や景気の動向にひとたび変化が生じると未達成になる恐れがあり、これまでの経験から自分で数字を作る力を持ち合わせないからです。
本物は外部環境に依存しない
しかし本物のトップセールスは外部環境に依存しません。
失注のリスクを考え、たとえ失注しても他で補填できるようなネタを潤沢に仕込む、そんな営業活動を絶えず行っています。
「今期、仕事をもらえるかはわからない。
でもこのように働きかければ、いつか興味を持ってもらえるかもしれない」
それを無意識に考えているのが本物のトップセールスです。
この発想、実は予材管理と一緒なんです。
それを本物のトップセールスは息をするかのように無意識で行っているだけなのです。
目の前にある1つの案件を何とかして刈り取る。
そのアプローチは重要ですが、お客様も人間ですので営業担当者がいくら努力しても失注になる可能性があります。
ですから、もしこの案件を失注しても別の案件で補填できるようにネタを潤沢に抱えておきます。そのためのネタ探しを営業活動で日頃から行う。
それを実行できるのが、まさに『本物のトップセールス』と言えるのではないでしょうか。
皆さんもぜひ、営業のネタを潤沢に抱えるためのネタ仕込みからはじめてくださいね。
そしてその時は、「予材管理」を活用してみてくださいね!