こんにちは、コンサルタントの岩山です。
いよいよ12月も半ばに差しかかってきました。
今年も残すところ、20日ほどですね。
平成から令和に元号が変わった今年、ベストセラーになった書籍があります。
それは、AI vs. 教科書が読めない子どもたち(新井紀子 著)です。
本書の詳細は割愛いたしますが、著者が取り組まれた大がかりな調査で得られた驚愕の事実……
それは「日本の中高生の多くは、中学校の教科書の文章を正確に理解できていない」ということでした。
著者の新井氏は、本書において次のように述べられています。
読解力というような素養は、ほとんど高校卒業までには獲得されます。特別な訓練を受ければ、大人になってからでも読解力が飛躍的に向上することはありますが、そうしたケースは稀です。日本の教育体系は、時代に対応して小さな変更は繰り返していますが、大枠では変わっておらず、今の中高生が前の年代の人々と比べ突出して能力が劣るとは考えられません。つまり、中高生の読解力が危機的な状況にあるということは、多くの日本人の読解力もまた危機的な状況にあるということだと言っても過言ではないと思われます。
(「AI vs.教科書が読めない子どもたち」より抜粋)
この引用を読まれた皆さまは、どのように感じましたか。
「読む」より「聞く」方が難しい
読解力がない―
この「読む力」が不足している人は、「聞く力」にも欠けている。
そう言えるのではないか、と私は考えています。
なぜ、私がそう考えるのか……その理由をお伝えする前に「読む」と「聞く」を比較してみたいと思います。
読む・・・読んでいる途中で頭が整理できなくなったら、前の文章に戻って繰り返し「読み返す」ことができる
聞く・・・聞いている途中で頭が整理できなくなっても、たいていの場合、何度も「聞き直す(=質問する)」ことはしない
このような観点から考えた場合、「読む」よりも「聞く」の方かはるかに難しいと言えるのではないでしょうか。
しかし、そんな「聞く」ということをプロフェッショナルとして習慣的に行っている職種があります。
それが「営業」です。
「聞いている」ようで「聞いていない」営業
「お客様の話をよく聞きなさい」
営業であれば、上司や先輩から一度は言われたことがあるのではないでしょうか。
またあなたが上司であれば、部下に口酸っぱく言っているのではないでしょうか。
商談で部下が話しっぱなし。
お客様の話をほとんど聞かない……ということはないはずです。
なぜなら商談から帰ってきた部下に「今日、どうだった?」と尋ねると、部下はその日、お客様から伺った内容を報告するからです。
ですが、部下の報告を聞くと……
▼何を聞いてきたのか、いまいち把握できない
▼お客様が言ったことをそのまま受け取っている?!
▼ヒアリング内容から、どうしてその提案になるのか…
などなど。
何のためにお客様を訪問したのか……そんな疑問すら湧いてきたことがある方も多いのではないでしょうか。
その原因こそ、部下の聞く力の欠如かもしれません。
ヒアリング以前に「話を正しく聞く力」が備わっているか、ぜひチェックしてみてください。
ひとつの方法としては、部下に「今、私が伝えたことを言ってみてくれる?」と聞いてみてください。
そうして繰り返される部下のアウトプットを通じて、部下の「聞く力」が鍛えられているかどうかチェックする。
まずはそんなトレーニングからはじめてみてはいかがでしょうか。