予材管理の現場から 予材管理ブログ

新卒入社まで3ヶ月、企業が今すべきこと

コンサルタントの酒井です。

「毎年新卒採用をしていると、ここ数年、若い人の価値観が変化してると感じるんです。
昔とはだいぶ変わってきているなあと感じますね。」

これは、先日、採用支援をおこなっている企業とのミーティング中、社長がおっしゃった言葉です。

まさにこれは私自身も感じていること。

私は前職で大学生や専門学校生3,000人の就職支援に携わっていました。
そして現職では毎年300人に対して新入社員研修を実施しています。

計算するとトータルで12年ほど若い方の就職から入社までの過程を見てきたことになります。
だからこそ、冒頭の社長の言葉には共感を覚えるのです。

では、具体的にどのような変化があるのでしょうか?
 

異星人くらいの差がある?!

まずは価値観について。

お知り合いの大学キャリアセンターの職員の方がおっしゃっていた印象的な言葉があります。

「若手世代と他世代との価値観は、もはや「異星人」くらいの差がある」

同じ日本人だからといって、自分と他者との価値観が同じでないことは体験されていることでしょう。
ましてや、育ってきた環境が異なる他世代とは価値観が異なるのは当然のこと。

その差は、なんと「異星人」くらいなのだという認識を持ったほうがいいというわけです。
例えば、働く目的。

戦後世代

焼け野原→食べるために必死に働き生活を維持するため

団塊世代

高度成長期→人並みに生活を豊かにするため

バブル世代

豊かな社会実現→働きがいや自己実現をするため

就職氷河期世代

不況による買い手市場→とにかく仕事に就き、生活の基礎を作るため

若手世代

売り手市場→やりたいことをやるため

わずか戦後の数十年の間でも、このように「異星」レベルで環境変化しているわけですから、身を置いた時代背景が異なれば、このように「何のために働くのか」の価値観は異なるものです。

まずは、新しく入社してくる若手世代は価値観が異なるという前提を持つことがスタートラインと言えるでしょう。

他に若手世代の特徴と傾向を以下に挙げていきます。

●自分の興味を持った分野でやる気になった時には集中力が高い
●自分の市場価値を高めることには熱心
●自分のものさしで、世の中を計る
●結果が見えにくいことに興味を持たない
●タテの人間関係が苦手
●生産性・効率・合理性を重要視
●承認欲求が強い
●「絆」を大切にするため、同期はライバルでなく仲間。「みんな一緒」が燃える条件

いかがでしょうか?
「たしかにそうだな」と身近な若手の方の顔が浮かんできた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 

新入社員入社までに企業がやるべきこと

相手を知ることはビジネスの基本です。

営業であればお客様を知ることはスタートライン。
お客様の特徴、考え、課題を知ってはじめてお客様に対して適切な提案をすることができます。

このことは社内の人間に対しても同じです

相手を知ることがビジネスの基本であるという原理原則に基づき、新入社員を迎え入れる前にやっておくべきことは、「新入社員の情報を共有しておく」ということです。

簡単に言えば、どんな方が入社するのか社内のメンバーに正しく伝えておくということです。

先に挙げた若手世代の価値観や特徴と傾向はあくまでも一般論。
すべての若手にあてはまるわけではありません。

採用選考プロセスや内定後のフォーマル/インフォーマルな場において得られた個々人の価値観や特徴について、配属先の上司はじめ関わる人たちには情報共有しておくべきです。

これは新入社員に限ったことではありません。
社内のメンバーの考え、課題を知る努力をすることはとても大切なことです。

アメリカの経営学者チェスター・バーナードの組織三要素によると、組織とは「①共通目的 ②貢献意欲 ③円滑なコミュニケーション」の3つの要素が揃ってはじめて組織と定義されています。

しかし働き方改革の流れで、効率化を優先するあまり、コミュニケーションまでも省略していたり、忙しさのあまり余裕を失い、お互いを理解し合う過程をなおざりにしてはいないでしょうか。

いつの時代も、人と人とが分かり合い、信頼の絆でつながり合うコミュニケーションの大切さは変わりません。
 

「ONE TEAM」になるために……

2019年のユーキャン新語・流行語大賞は「ONE TEAM」に決まりました。
説明するまでもなく、これはラグビー日本代表が掲げたテーマです。

日本代表を率いるジェイミー・ジョセフヘッドコーチはチームに必要な選手たちを国籍問わず、31人の代表選手を招集。7カ国15人の海外出身選手を含む31人はリーチマイケル主将を中心に桜の戦士ONE TEAMとして結束し、快進撃を続けたのは記憶に新しいところです。

「ONE TEAM」になることはけっして簡単ではありません。

数多くの企業の現場に入って支援しているからこそ、その大変さは身にしみて感じています。

ましてや、ラグビー日本代表は半数近くが外国出身の選手であったわけですから、それぞれ異なった価値観を持った人の集まりであり、多くの障壁があったに違いありません。

それにも関わらず、それらを乗り越え、「ONE TEAM」になり、快進撃を続けたわけです。

「ONE TEAM」になる必要性は理解していても、その実現への道筋は容易いものではなく、頭を悩ませ、ご相談を受けることがとても多いです。

これを読んでくださっているあなたの会社にも様々な考え、性格、価値観を持つ人がいらっしゃることでしょう。

相互理解ができる社内文化を形成しておくことはとても重要です。

新入社員を迎え入れる前だからこそ、こういったことをあらためて考え直すタイミングとしてみてはいかがでしょうか?