コンサルタントの酒井です。
予材管理をスタートしたばかりの組織が、会議において行うべきことがあります。
それは、「予材の定義を揃えること」と「全員が集中して考える場を作る」ということです。
「予材の定義が揃っている」とは、見込み・仕掛り・白地それぞれの予材がどのような状態のものを指すのかについて、組織全員で共通認識がなされているということです。
まずは予材の定義をそろえよう!
私どもコンサルタントが、予材管理の導入支援を現場で行う際には、予材の定義を揃えることを最初の段階で行います。
その営業組織のセリングプロセスなどを客観的に捉えたうえで、どの状態を見込み・仕掛り・白地として定義付けることが、その組織にとって最も適当なのかを考え、予材の定義を決めていくのです。
では、一度定義を決めたから、もうそれで安心かというとそうではありません。
予材の定義を一度決めたからといって、それで終わりではないのです。
なぜかというと、時の経過とともに、個人個人によって予材の定義が微妙にズレていってしまうからです。
営業現場には様々なお客様や案件、パターンが存在します。ですから、「この場合は仕掛りなのか?いや白地なのか?」と迷うことがあるのです。
見込み、仕掛り、白地は、予材管理をする組織においての共通言語です。
しかしながら、共通言語である、見込み、仕掛り、白地の定義がズレてしまうとマネジメントそのものができなくなります。つまり、予材管理とは名ばかりとなってしまいます。
そのため、特に予材管理の導入スタート期には、定期的に全員で確認し合って、定義を揃えることをおすすめします。
予材の定義をそろえる「会議コミュニケーション」
私の支援先で、毎月会議に入っている会社があります。
その会社では予材の定義を揃えるために、こんな会議をしています。
(1)発表者が、自らが白地と定義しているお客様の状況について、1分程度で発表する
(2)発表者は、ミーティングに参加しているメンバーの名前が記されたくじを引く
(3)くじに当たった人が、その予材を白地として認めるか、認めないか、またその理由についてコメントする
ポイントは、予材の定義を「全員で」揃えるということです。
部長、次長、課長といった上席者がその下位の者に対して指摘するというスタイルではありません。
上司・部下は関係なく、全員が指摘するというスタイルをとることがポイントです。上司の発表に対して、部下がツッコミを入れるという場面も当然できるため、緊張感のある場ができます。そうすることで「全員で」定義が揃えられていきます。
このスタイルをとることで、副作用もあります。
それは、全員が一人ひとりの発表に集中する場ができるということです。
よくある会議のパターンに、一人ずつ営業が順番に発表していき、上席者だけがコメントして、「はい次」というパターンがあります。
そのやり方ですと、発表者以外の営業は、自分の発表の準備をするか、すでに発表が終了した営業は内職を始めます。
それでは、全員を揃えて会議という場を設定する意味が全くありません。
「働き方改革」が叫ばれ、残業削減、生産性向上を求められている今、そのような状態になっている会議は、まず削減すべき対象でしょう。
営業組織に考える習慣ができる
言うまでもないことですが、目標を達成するためには、考える力を身につける必要があります。
ですから、会議は「考えるトレーニングの場」として実施したいものです。
トレーニングの場である以上、他の人間の発表に対して、自分ならこうするだろうというアイディアを出さなければ、会議の目的が果たされないことになります。
・ディソシエイトして、相手の発表を聞き、打ち手を考える
・自分のことは棚に上げて、打ち手を考え、遠慮せずに発言する
このスタイルの会議を継続的にやることで、考える習慣が身についていくのです。
予材管理は、目標達成に向けて、考える習慣を身に付けさせる道具です。
同様に、会議においても、考える習慣と力を身に付けさせることに焦点を合わせて、予材管理表をベースにアイディアや打ち手を出すトレーニングを積ませることをおすすめします。